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司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

ブログ

2005年01月17日

さすがプロ

先週の土曜日は、日本財団での遺言と成年後見制度の講演の受付をやりました。(前日かなり遅い時間まで新年会があったので、体調不良でしたが(笑)。)当日は雪こそ降りませんでしたが、寒く雨が降っていました。講座をお聞きになる方は高齢の方が多く、こんな日に来てもらえるだろうかという心配もありましたが、多くの方に参加して頂けました。

私には、いつも聞いている遺言と成年後見の話でしたが、いつもと違うところがありました。今回の講座は、聴覚障害の方にも参加してもらえるように、手話通訳の方を手配していたのです。「どんな手話になるんだろう。法的な用語もうまく訳せるのかな。」と思っておりましたが、さすがプロですね、講師の方の早い講義を次々に訳されていました。身振り手振りによる通訳ですから、普通の通訳より体力が必要のようです。15分でお二人の手話通訳の方が交代で対応されていました。

聴覚障害をお持ちの方のお申込はあったのですが、この寒い雨の中、来られなかったら、わざわざ来て頂いた手話の方に悪いなと思っていましたが、杞憂に終わりました。聴覚障害だけではなく、他の多くの障害を持たれた方にも将来的には参加して頂きたいですね。

2004年10月27日

公正証書遺言の長所短所

ちょっと商法改正の話が続きましたが、やっと遺言の話。シリーズでお伝えすると言っておきながら、全然シリーズになってないとお叱りを受けそうですが、今日は公正証書遺言の話です。実務で遺言というと、以前ご紹介した自筆証書遺言より、この公正証書遺言のほうが断然多いです。自筆証書遺言の弱点となる部分をほとんどカバーしています。

自筆では、せっかく書いた遺言書が発見されないなどの不利益がありましたが、公正証書の場合、公証役場に遺言者が百歳になるまで保管されるので、安心です。蛇足ですが、百歳を超えても連絡すれば保管してもらえるようです。公正証書遺言では、遺言執行者(遺言を実現してくれる人、法律家が選ばれる事が殆どです。)が選任されていますから、その人に連絡してもらいます。残念ながら、私はまだ百歳を超える方とは、お付き合いしていないので連絡したことがありません(笑)。

公正証書では、内容を公証人が見てくれますから、法律に詳しくない素人の方でも安心です。自筆証書のように、訂正に失敗して無効になるということもありません。

また家庭裁判所の検認手続がいりませんから、時間手間費用がかかりません。遺言の中身に不動産がある場合、公正証書があると登記申請が楽ですから、公正証書の表紙を見ると、正直ほっとします(笑)。

いいことばかりのようですが、短所もあります。遺言の文案を法律家が練りますし、ケースによっては、遺言執行者にもなります。公証人も関与しますから、どうしても費用が高額になってしまいます。(と言っても、不利益を受けない安心料だと思えば妥当な金額だと思いますが。)

あと短所として、証人が2人以上必要という事があります。知人に頼むと内容が知れてしまいますし、身内でも推定相続人は証人になれません。でも実務では、ほとんどの場合、遺言執行者である法律家とその事務所の職員がなりますから、費用を考えなければ心配いりません。

自筆証書がいいと考えられる方もいらっしゃると思いますが、私個人的には、公正証書遺言をお薦めしたいと思います。

2004年10月21日

健康診断の結果と遺言

体調はなんとか復活しつつあります。今週末後輩の結婚式がありますので、それまでには完全復活したいところです。体調が回復に向いつつある今日、健康診断の結果が送られてきました。全体的には問題なしなのですが、やはり運動はしておいたほうが良さそうです。(やはり中性脂肪が。。。)自宅と事務所はゆっくり歩いて20分くらいなので、毎日歩けばいいんでしょうけど、日誌を継続するのと同じくらい辛いものがあります。厳しいですけど、ちょっとずつ頑張ります。

健康診断の結果は、誰でも気になるところですが、ずっと健康な人も例外ではないようです。私の知人で、健康そのもの、大のゴルフ好きがいるのですが、突然「再検査の必要あり。」との診断結果が出たようで、ガックリした声で電話がかかってきました。ぽつりと一言。「遺言作ろうかな。。。」

そんな悲壮感を漂わせる程の深刻な結果ではないと思いますが、一般の人だと、やぱり多少なりとも「死」を意識しないと遺言を作る気にはならないもんですね。私から見ると、悲壮感を漂わせた精神状態で遺言を作成するよりも、肉体的にも精神的にも健全な状態で作成したほうが「より健全な遺言」ができて良いように思えます。

P.S.
以前携帯のパケット定額の話をしましたが、定額にして初めて請求書が送られてきました。パケット定額でなければ、8万6000円のパケット代でした。危ない危ない(笑)。

2004年10月20日

自筆証書遺言の長所短所

昨日のつづき。
自筆証書遺言の長所と短所について。
長所
特に「遺言者田中太郎は全財産を…」のような簡単な内容の遺言の場合はすぐ出来ますから、とても便利で気軽です。公正証書遺言のように、証人もいりませんから、遺言の内容が他人に知られる心配もありませんし、わざわざ公証人役場に行かなくてもOKです。当然高額な費用はかかりません。(紙とペンさえあればそれで十分です。)また相続人も遺言者の自筆ぐらい判りますから、遺言の内容さえ明確なものであれば、相続人からその遺言は無効だと主張されにくいとも言えます。

短所
他人に知られないのもいいかもしれませんが、法律をよく調べることなく、素人判断で書いてしまうとせっかくの遺言が無駄になります。968条2項にあるように、訂正は通常の方法より厳格ですから、ここを間違えるとそれで終わってしまいます。(どうしても自筆証書遺言を作成する場合は、訂正しないで再度書き直したほうが無難です。)
また他人に秘密にできる反面、他人が知らないと、せっかく自分で用意した遺言が発見されない場合もあります。また相続人によって遺言が隠匿されたり捨てられたりするかもしれません。(こんなことを相続人がやってしまうと相続できなくなります。)ですから、複数作成して、信頼できる人に預けたりしたほうがいいですね。
また家庭裁判所での検認が必要になりますから、遺言が実現されるまで時間がかかります。あと当然ですけど、自分で字が書けなくなってしまうと作成できません。(高齢で手が震えてしまう等。)

費用がかからない分、不安定な部分が多いような気がします。次回は公正証書遺言について。

2004年10月19日

自筆証書遺言について

今日は久しぶりに遺言の話。日本における遺言は3パターンあります。
『第967条 遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によつてこれをしなければならない。但し、特別の方式によることを許す場合は、この限りでない。』
原則として、この条文にある自筆証書、公正証書、秘密証書の3パターンです。条文の但書きに「特別の方式」とありますが、これは以前紹介した船舶遭難者の遺言や死亡危急者の遺言(遺言者が今にも亡くなりそうな場合)などの特種な例ですので、あまり気にしないで下さい。一応3パターンありますが、そのどれもが長所短所があります。今日はその中の自筆証書遺言について。

まずは、条文のご紹介。

『第968条 自筆証書によつて遺言をするには、遺言者が、その全文、日附及び氏名を自書し、これに印をおさなければならない。2 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を附記して特にこれに署名し、且つ、その変更の場所に印をおさなければ、その効力がない。』

自筆証書遺言とは、読んで字のごとく遺言者本人の自筆で書かれた遺言です。この条文のとおり
@全文を自分で書くこと。(ワープロ不可。)
A日付を必ず入れる
B名前をいれる
Cはんこを押す。(実印でなく認印でも可。でも実印が望ましいですけど。)
上記の四つのルールさえ守れば完成です。

明日はこの自筆証書遺言の長所と短所。