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司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

ブログ

2006年09月25日

簡裁事件の司法書士関与

先週はリーガルサポートの不祥事関連の情報を多く取り上げました。今日は違うLSのお話。

LSというと司法書士には「リーガルサポート」だと思いますが、「ロースクール」もLS。新司法試験の合格者1009人、合格率48%
の報道はご存知だと思います。それまでの3%の合格率からみれば、48%はとんでもない数字です。来年度は未修者も加わり、20〜30%
になると言われていますが、それでもかなりの合格率です。

法律関連のサービス業をやっている一人からの視点では、48%は多すぎと思ってしまいますが、受験生視点ではどうなんでしょう?

ロースクール構想の始めの頃、法曹への社会人の道が開けるという評判でした。でもこの中途半端な合格率、
社会人がロースクールを選択するのもリスクが高いかなと。3年(未修の場合)の間社会から離れて合格率が2〜30%
だとちょっと引いちゃいますよね。(司法書士を選択しても状況はあまり変わりませんが。。。)

そのリスクを取って成功した人々が法曹人口の増加に繋がるのですが、しかし、
法曹を必要としているマーケットがそれなりに成熟しないと、せっかく新司法試験に合格したのに、「就職できない」
という状況になってしまいます。

就職できても「年収400万円」とか「使えないとクビ」という噂が現実のものになってしまっては、
せっかくロースクールを出ても厳しい状況に変わりはありません。

そんな法曹人口、特に弁護士が増える時代に、法律サービス業のマーケットが拡大しなかったらどうなるんでしょう??
今まで弁護士が積極的に商売のタネとして来なかった「簡易裁判所」での案件も喰えない弁護士が参入するんでしょうか?

司法書士に簡裁の代理権があっても、このマーケットで喰うのは正直難しいと思っています。
積極的に代理権を活用する司法書士が自分の身の回りにいないのも当然だと思っています。

ではそんな簡裁の事件はどのくらいの規模でしょう?最高裁のHPで見つけた平成17年度の事件数は、356718件。
この中で弁護士が飯のタネとした事件は約2万件。

さて問題。
昨年度、全国の簡裁事件の中で、司法書士が飯のタネとした事件は何件でしょう?→正解は16747件

この数字、多いか少ないかは皆さんの判断にお任せします。今後この数字は増えるのか?
またローの卒業生が大量に参加する時代はどうなるのか?しばらく見守る必要がありますね。 

2006年02月09日

私の親が振込み詐欺に 完

 


昨日のつづき。これでこの件、ラストです。


Mありそうですが、こんな住所は 大田区にありません。「西蒲田7−7−1」
は西蒲田七丁目7番1号であって、西蒲田七丁目7番地1号はありえません。この手の文書にありがちな誤字脱字の典型ですね。
今回は九州地方に多く郵送されたようですから、現実に大田区西蒲田に、政府の機関があるはずがないと思う人が少ないのも、
被害を広げた原因にもなっているようです。

 


N何度も繰り返しではありますが、司法管理通達局というものは、
この世に存在しません。葉書を送られてしまった方、安心して破棄して下さい。

 


ちなみに、この電話番号は、現実に西蒲田で使用されている局番だそうです。
ここに電話をすると、次のような展開になるようです。

 


被害者「もしもし、こんな葉書が来てしまいました(汗)。」


司法管理通達局のニセ担当者
「このままでは、大変ですよ。無料の国選弁護人をご紹介しますので、その方に連絡して裁判の取下げの手続きをして下さい。」


被害者「わ、わかりました。」

 


被害者「もしもし、国選弁護人の○○先生ですか?」


ニセ弁護士「そうですよ。
このままでは、裁判に負けてしまいますから、裁判を取下げましょう。保証金を供託しなければなりませんから、
○○万円を次の口座に振込んで下さい。」


被害者「わ、わかりました。すぐ振込みます。」

 


と典型的な振込み詐欺の罠にハマります。上のやり取りもデタラメなんですけど、
分かりますか?民事裁判に国選弁護人なんてシステムありませんからね(笑)。

 


いろんな手口が次々と出てきますが、まずは、落ち着いて。
冷静になってから誰かに相談しましょう。

 

2006年02月08日

私の親が振込め詐欺に 5

昨日「法務省令公布」(業界関係者のみの)という号外を出しましたが、その直後、日本国民にとっての本当の号外「秋篠宮妃ご懐妊の兆候」が出ました。誠におめでたいニュースです。が、微妙な時期ですね。この件については、また後日。

 

今日は、これから支部の役員会に出席しなければなりません。そこで長々と連載している「司法管理通達局からのお手紙(副題:うちの親のところにも架空請求が!)」のお話。

 

Jから。最近一瞬流行ったのは、公証人の確定日付を利用するパターンや支払督促っぽい書類を送付する手口(これなんかは、本物を真似しようと思ったら、そっくりなものが出来ると思いますが)ですが、少額訴訟を提起する新しい手口はありません。悪徳業者がのこのこ少額訴訟を起こせるわけがありません。これもそれっぽいのは作成可能だとは思われますが、手口としては支払督促のほうが巧妙ですね。

 

K裁判取り下げの手続きとありますが、裁判起こされているのに、被告からの取下げの手続きがあったら便利ですね(笑)。こんなシステムがあったら、裁判なんかにならないですね(笑)。

 

L法律上の問題ではありませんが、この日付がポイント。うちの親のところにこの葉書が届いたのは1月19日。猶予は1日しかありません。冷静に他人と相談する時間的余裕を与えないため、こんなギリギリの日を記載しているようです。もらっても慌てちゃいけませんよ。

 

時間が来たので、とりあえずここまで。明日また修正してアップします。

2006年02月06日

私の親が振込め詐欺に 4

 


次々と新しい情報が報道されるライブドア事件ですが、今日は、しばらく放置していました
「司法管理通達局からのお手紙(副題:うちの親のところにも架空請求が!)」のお話。風邪と決まった訳ではありませんが、
ちょっと体調が本調子でない(頭痛あり)ので、このネタでお茶を濁します。

 


間違いだらけの「司法処分最終通達確認書」
こちらでご確認下さい。

 


Fまで説明しましたので、Gから。


「執行証書の交付」とあり、それを「承諾して頂きます。」とあります。


裁判で負ける→強制執行され→「執行証書の交付」
と尤もらしい法律用語が並んでますが、そもそも執行証書は債務名義です。(過去の債務名義の解説はこちらで。
)民事執行法22条の5号の文書を執行証書と呼びますが、これを作成するのは「公証人」です。別に裁判とは何の関係もありません。


「裁判で勝つ」→「勝訴判決(債務名義)取得」→「強制執行」


「執行証書(債務名義のひとつ)取得」→「強制執行」との流れになります。
この流れがお分かりになれば、いかにデタラメ文書か納得頂けると思います。

 


H「個人情報保護法」とありますが、「個人情報保護法」が施行される前から
(もちろん今後も)、民事訴訟の内容が第3者に漏れる訳がありません(笑)。それっぽい法律用語を並べて信用させようとしているだけです。

 


I訴訟通達を確認する機関なんてありません。
そもそも訴訟の正当性を確認するのが裁判ですから、部外者が正当性を判断しても仕方ありません。ご丁寧に
「類似した葉書や通知にご注意下さい。」なんて書いてありますが、盗人猛々しいとはこのことです。

 


今でも「司法管理通達局」で検索されている方がいるようです。
司法管理通達局からの葉書は安心して捨てて下さいね(笑)。

 

2006年01月26日

証券取引法解説 その2

 


昨日は、ネットワークの復旧を待たずして支部長会に出たのですが、終了時には復旧していました。
おかげで安心して飲んでしまったため、おとといのつづきをアップできませんでしたので、今日は、前々回のつつき。
ずいぶんもったいぶった前振りをしていましたが、証券取引法違反のお話。(写真は事務所の近所から見た六本木ヒルズです。)

 


証券取引法158条に違反すると証券取引法197条が待っているという話までしましたが、
この証券取引法158条、証券取引法であと1条だけ関連する箇所があります。500万円ではビクともしないホリエモンもこれは大変でしょう。
長いけど、気合入れて読んで下さい。

 


【証券取引法】


第173条 第158条の規定に違反して、風説を流布し、
又は偽計を用い、当該風説の流布又は偽計(以下この項において「違反行為」という。)により有価証券等の相場を変動させ、
当該変動させた相場により、自己の計算において、
当該違反行為が行われた日から1月以内に当該有価証券等に係る有価証券の募集により当該有価証券を取得させ、
又は当該有価証券等に係る有価証券の売買その他の取引、有価証券指数等先物取引、有価証券オプション取引、
外国市場証券先物取引若しくは有価証券店頭デリバティブ取引をした者があるときは、
内閣総理大臣は、次節に定める手続に従い、その者に対し、
次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額(次の各号のいずれにも該当する場合は、当該各号に定める額の合計額)
に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。


1.違反行為により有価証券等(当該有価証券等に係る有価証券店頭指数を含む。
次号において同じ。)の相場を騰貴させ、又は上昇させ、当該騰貴させ、
又は上昇させた相場により当該有価証券等に係る有価証券の売付け等
(当該違反行為が行われた日から1月以内に行われたものに限る。以下この号において同じ。)
をした場合 次のイに掲げる額から次のロに掲げる額を控除した額


イ 当該有価証券の売付け等についてそれぞれの有価証券の売付け等をした価格にその数量を乗じて得た額の総額


ロ 当該有価証券の売付け等について違反行為の直前の価格として政令で定めるもの
(次号イにおいて「違反行為の開始前の価格」という。)
に当該有価証券の売付け等の数量を乗じて得た額


2.違反行為により有価証券等の相場を下落させ、又は低下させ、当該下落させ、
又は低下させた相場により当該有価証券等に係る有価証券の買付け等
(当該違反行為が行われた日から1月以内に行われたものに限る。以下この号において同じ。)
をした場合 次のイに掲げる額から次のロに掲げる額を控除した額


イ 当該有価証券の買付け等について違反行為の開始前の価格に当該有価証券の買付け等の数量を乗じて得た額


ロ 当該有価証券の買付け等についてそれぞれの有価証券の買付け等をした価格にその数量を乗じて得た額の総額

 

 


条文があまりにも長いので(行数かせいでいるだけという気もしますが(笑))、
ちょっとお分かりになりにくいと思いますが、要は『不正に得た利益は全部吐き出せ!』ということです。

 


そして昨年の話題を独占していたあの人、小泉総理が登場します。同条中、
「内閣総理大臣は、(省略)課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。。。。」とあります。

 


なにかと世間を騒がせた小泉総理とホリエモンが直接絡みます。
考えただけでもワクワクしますね(笑)。

 


証券取引法は、直接の専門分野ではないので、解釈に誤りがあるかもしれません。
ただこういう条文があるんだなということだけでもご理解頂ければ幸いです。