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司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

ブログ

2005年10月05日

NHK受信料と法的手段 その7

やっとNHKのお話のラストです。オレオレ詐欺に始まって、最近では国勢調査の偽装まで、段々手口が巧妙な事件が多くなってきました。

E更なる架空請求被害が広がるのではないでしょうか?

以前日誌でもご紹介しましたが、公証人の確定日付を悪用した詐欺や裁判所のお墨付きをもらったように偽装した支払督促を利用した詐欺事件が多発しています。ここまで手の込んだ仕掛けを考える悪人が、NHKの支払督促を利用しない訳がありません。

身に覚えのない請求であれば、この手の詐欺に引っかからない人もいるかもしれません。しかし、NHKの受信料の請求ともなると、心当たりのある人が130万人いることになりますから、もしNHKが支払督促という法的手段に出たというニュースが流れると、「とうとう私のところにも来てしまったか。。。」と諦めて、振りこんでしまう人は大勢いるでしょう。

NHKが最後の最後の手段としている支払督促。最後の最後のその時に向けて、巧妙な印刷物を準備している悪人達が、一体どれだけいることか。NHKの受信料を銀行の自動引落しにしている真面目な高齢者まで、またしてもターゲットになるかと思うと残念でなりません。NHKが最後の手段に出ないことをお祈りします。

 

2005年10月04日

NHK受信料と法的手段 その6

間隔が空いてしまいましたが、やっと元のNHK受信料のお話のつづき。

Dその時簡易裁判所はどうなるんでしょうか?
勝ち筋だからといっても、未納・滞納金額が少ない人に対しても支払督促をするとは考えにくいです。支払督促が安いといっても130万件、全ての不払者・滞納者に同時に支払督促とはいかないでしょう。もし仮に、費用面などを度外視して、全国で支払督促の手段に出たとしたらどうでしょうか?

ただでさえサラ金業者による大量の訴訟案件(業者事件)が持ちこまれ、あっぷあっぷしている裁判所に、130万件の支払督促が出されたらどうなるのでしょうか?一応支払督促では、債務者の住所地を管轄する簡易裁判所に対して申し立てるとなっていますが、東京簡裁だけでも、裁判所が麻痺してしまうに十分なボリュームとなります。しかもそれだけの対象者を相手にするとなると、「最後までとことん裁判やったるでええ〜。」という方もでてくるでしょうから、地裁まで巻き添えです。

後先考えずに、不払者・滞納者に対して支払督促ができたとしても、未契約者に対しては、以前説明した立証責任の問題で厳しいと思われますし、そもそも相手方の名前がわからないと訴状も送れません。表札のない家もいっぱいありますから、この場合もNHKは諦めることになるのでしょうか?マスコミを煽動しない、正攻法での法的手段は、相当厳しいものになりそうです。

 

2005年09月29日

NHK受信料と法的手段 その5

昨日は参りました。サーバーの不具合、勘弁してもらいたいもんです。朝には復旧しており、1回アップしましたので、今日は1日2回目のアップです。

C本当に支払督促という手段が選択できるのでしょうか?
NHK曰く、「支払督促は、最後の最後の手段。」確かに支払督促という手段に出れば、不払者・滞納者には効果大です。でも昨日の説明のとおり、未契約者には、この手は打てません。そもそも受信料を支払っている人との不公平をなくすための手段である支払督促が、未契約者との更なる不公平へと繋がってしまいそうです。

「この法的手段と取るぞ。」との今回の脅しに、ビビッて支払う人もいるかもしれません。気の弱い人には効果があるでしょう。支払督促の手段は良いとして、実際に書類は誰が作成するんでしょうか?NHKの職員が作成するんでしょうか?司法書士が作るとなると、それだけでもかなりの費用がかかってしまいます。(130万件分!!)しかも支払督促に異議が出て、通常訴訟に移行した場合は、弁護士が担当するのでしょうか?数万円の滞納金額では、法的手段に出れば出るだけ赤字になってしまいます。受信料も10年で時効になりますから、たっぷり10年分(20万円ちょっと?)を滞納している人、事業者のみを対象にすれば、ギリギリ採算がとれるかな?といったかんじです。

でも実際には、NHKが強固な手段に出た、実際に簡易裁判所で手続を始めたというニュースに、ビビッた不払者・滞納者が減れば万歳といったところでしょうね。実際の法的手続よりもマスコミなどの報道による影響を期待してるんじゃないでょうか?対象者全員が通常訴訟に移行なんてことがあったら、完璧に赤字ですね(笑)。

2005年09月29日

NHK受信料と法的手段 その4

昨日はサーバーの調子が悪く、11時ぐらいまで格闘していましたが、結局アップできずに終わりました。失礼しました。

それではつづき。昨日は受信料不払者は、どう足掻いてもNHKに債務名義をGETされてしまうお話でした。今日は違うパターンのお話。

B受信料不払者、滞納者と未契約者って法的にどう違うのでしょうか?

滞納者は元々NHKとの契約があり、何らかの事情で受信料を滞納しているだけですから、昨日の不払者と同じ運命を辿ります。では958万件の未契約者はどうなるのでしょうか?報道によると958万件の未契約者、つまり「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」が958万件いるようですが、そもそもこの数字は正しいのでしょうか?

裁判では、立証責任なるものがあります。対立している当事者の言い分は当然ちがいます。当事者の提出した証拠によって、どちらが正しいか裁判でわからない場合があります。このような場合に、有利な法律効果の発生を主張する側がそれを証明しなければならないのです。NHKが受信料を請求するためには、NHKが契約があることを証明します。それに対し、もう支払っているのであれば、領収書などで証明するのです。不払者は、当然領収書がありませんから、昨日の展開になります。

未契約者との関係では、契約の成立(ここではNHKが相手方が協会の放送を受信することのできる受信設備を設置したこと)を証明しなければなりません。勝手に人の家に入りこんでテレビがあるかどうか調査できませんから、立証責任のあるNHKはお手上げとなります。調査ができないはずなのに、958万件という数字はどこから出てきたんでしょうね???

2005年09月27日

NHK受信料と法的手段 その3

そろそろ本格的に会社法の条文を潰し始めました。読めば読むほど発見があり、クラクラしています。受験生に混じって予備校にでも行ったほうが楽だなと思ってしまいました。受験生といえば、明日司法書士本試験の合格発表です。合否ラインすれすれの方もそうでない方も、今夜は不安で眠れない夜だと思いますが、吉報お待ちしております。受かった方、是非コメント下さい。(そうじゃなかった方も。)

さて昨日のつづき。
A放送法ってなんでしょう?

受信料を払わなければならない根拠は放送法第32条にあります。

第32条 協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。

ここでいう受信設備とはテレビの事です。要は家にテレビがあればNHKと契約しなければならない訳です。最近はパソコンでもテレビが視聴できますから、その場合はそのパソコンも受信設備に含まれるようです。

家にテレビがあり、NHKと契約してはいるけれど、最近のNHK不祥事に腹を立ててしまって受信料を払っていない、あるいは支払を拒否している場合は、民法上の債務不履行となります。もしNHKが支払督促をやってしまうと。。。

     ?????????????? → NHKによる支払督促

      ↓                 ??????? ? ↓
支払督促を無視、又は異議なし。 支払督促に異議
      ↓                ????  ???? ↓
NHKが債務名義ゲット  受信料の支払を証明できず
      ↓                ?????????  ↓
      ↓                 裁判負け

      ↓                 ????????? ↓

           結局NHKによる強制執行

強制執行までNHKがやるかどうかはわかりませんが、完璧に債務名義GETされます(笑)。
つづく。