業務日誌
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2003年4月1日(火) 登記簿謄本取得
4月に入ったせいなのか、めっきり春らしくなってきました。事務所から見える桜も見頃といったかんじです。三日坊主で終わるかに見えたこの日誌もめでたく2ヶ月目に突入です。
さて本題。司法書士の業務に登記簿謄本を取得・調査するってのがあります。(たいていは銀行からの依頼です。)
うちの事務所は港出張所の近くなので、登記情報交換システムを採用している法務局の謄本はすぐ取得できます。以前(交換システムがなかった時代)では、厳しかった急ぎの案件でもなんとか対応できるようになりました。初めて北海道の登記簿謄本を交換で取得した時は、ほんとに便利になったなあと感心しました。
しかし中にはコンピューター化してない法務局もありますから、急ぎでそこの謄本を取得しなければならない場合は、わざわざその法務局まで出向いたり、他の司法書士に頼まないとといけないのです。そんなに利益がでる仕事ではないので(遠方の法務局に行っても日当を請求するなんてできませんから)、FAXで謄本取得の依頼が来るたびに、どこの法務局の案件かで一喜一憂しています。
ちなみに今日はブック庁(コンピューター化されていない法務局)の案件でした(泣)。
P.S.
7000のキリ番踏んだ方に粗品をプレゼント。と掲示板に書き込んだのは良かったのですが、自分で踏んでしまいました(泣×2)。次回は7777で!

【登記一口メモ】
登記情報交換システム…全国の法務局が順次ネットワーク化され、1ヶ所の法務局で他の管轄の不動産・商業登記簿謄本が取得できるようになってます。
2003年4月2日(水) 贈与税
今日事務所に来たお客で、贈与税が発生しそうな案件がありました。
登記完了後に「こんな贈与税くるなんて知らなかった。」と文句言われても困るので、「贈与税大丈夫ですか?税理士に相談しましたか?」と聞いたところ、「私税理士です。」とキッパリ言われました(笑)。
今後、「すみません、今名刺切らせてまして○○です。」というお客には気を付けます。
まあ中には名刺がなくても、すぐ職業がわかる人もいらっしゃいますけど。(←どんな方かわかりますか(笑)?)
今日はこれから東京司法書士会港支部の総会があるのでこれで勘弁して下さい。

2003年4月3日(木) 副支部長
なんと昨日の総会で平成15年度の港支部の副支部長に選任されました。「東京司法書士会港支部副支部長」と肩書きだけは立派そうになりましたが、実際あまり変わりません。なんとか中身が追いつくように頑張りたいと思います。(優等生っぽい?)
すごく内輪の話になりますが、法務局には申請した登記簿謄本を申請者ごと置いておく箱があります。管外(申請者が港区外)と管内に大きく分けてありまして、それぞれにア行、カ行と分類されて置いてあります。さらに法務局のどういう基準で選ばれたのかわかりませんが、司法書士個人の箱がいくつか置いてあります。開業したての頃は、港区のメジャーな先生(?)の箱を見ては羨ましいなあと思っていましたが、何ヶ月か前からうちの事務所の箱も置かれるようになりました。初めて気づいた時は、「これでメジャー入りだな。」とニヤリとしました。
仕事のほうもこんな風に順調に行けばいいのですが、今日はちょっとやられました。昨日の税理士さんの話の続きです。すべての書類を整え、あとは押印を待つだけという段階まで来たときに、電話があり「やっぱり登記止めます。そういうことで。」と言われてしまいました。登記申請しないと、書類作ったとはいえ報酬を請求する訳にもいきません。「あ、了解しました。」と電話を切りましたが、この費やした時間はどーしてくれるんでしょうね。あ〜あ。
歎いてもしょうがないんで、また明日もこりずに働きます。
2003年4月4日(金) 公証人
4月1日からいろいろと法改正がありました。商法ではコーポレート・ガバナンス関係なので一部の大会社を除くとあまり影響がないと思ってたんですが。。。
株式会社を設立する際、定款を作成し、公証人役場で定款を認証してもらいます。公証人と呼ばれる人はその多くが元裁判官や元検事です。年齢も60歳〜70歳(70歳で定年です。)ぐらいのおじいさんです。あまり書くと怒られそうですが、ずっと刑事畑の方もいらっしゃるので、商法があまりお得意でない方もいると噂では聞いています。
さて今日の出来事。日本公証人連合会で使ってる株式会社用の定款には従来の株券失効制度の記載がありました。
下記のような記載です。
第10条
株券の再交付を請求するには、当会社所定の書式による請求書に請求者が署名又は記名押印し、これに次に掲げる書類を添えて提出しなければならない。

1 株式の分割・併合、株券の毀損又は汚損等の事由により請求するときは、その株券。
2 株券喪失の事由によるときは、除権判決の正本又は謄本。

法改正している部分ですから、当然定款の「株券喪失の事由によるときは、除権判決の正本又は謄本」を削除し、新たな記載をすべきだったのですが、(ここからは言い訳です。)もともと3月中に設立する予定の会社であり、定款の認証も3月中を予定していたので、新法を記載した定款を持ちこむつもりはありませんでした。発起人の押印が遅れ、4月にずれ込んだため、もともとの定款ではちょっと新法に適合しなくなりました。だからといってまた発起人に押印してもらうというのも大変ですし、公証人はあまり商法に詳しくないという噂を鵜のみにしたため、そのままで本人と定款の認証をしに公証人役場へ行ったのです。ところが(というかやっぱり)、「株券喪失の事由によるときは、除権判決の正本又は謄本」を削除しないと認証しませんと公証人に言われてしまいました。定款作成日は3月でしたし、いろいろ説明すればなんとかなったと思いますが、公証人と揉めてもしょうがないので、削除して認証してもらいました。
公証人は商法に明るくないとの噂をちょっとでも信じた私が悪うございました。

【登記一口メモ】株券失効制度…従来は株券を紛失すると、裁判所に届け出て、官報に載せ、異議を唱える人がいなければやっと除権判決がもらえるという流れでした。コストも時間もたっぷりかかっていたんです。改正により、これが警察の盗難証明などを企業に提出すれば、株券喪失登録がされて手続が終了するといういたってシンプルな仕組みに変わりました。
2003年4月7日(月) 古い戸籍
今日は相続登記の話です。
被相続人に子供(直系卑属)がいない場合は直系尊属、直系尊属もいない場合は兄弟姉妹が相続人になります。この場合直系尊属が死亡している戸籍(めちゃめちゃ古いです。)も必要になります。
「文久」「慶応」あたりをはじめとして、生年月日が「文化」だの「安政」だの昔日本史でならった年号が戸籍に出てきます。文化(1804−1818)あたりが限界になるんでしょうか?私は個人的に日本史が好きなほうですから、「おっ、文化だ。」とか一人で感心しながら戸籍を見ますけれど、他の人には全く興味ないところのようです。「安政の大獄はねえ。。。」とつぶやいても回りがだれも反応してくれないのはちょっと寂しいですね(笑)。ご先祖様が偉い人の相続登記なんかやったりする日は来るんでしょうか?あったら仕事になんないでしょうけど(笑)。

【登記一口メモ】相続人とは・・・ある人(被相続人)に相続が開始した場合、誰が相続人となるかは、民法上、次のように規定されています。
第一順位 直系卑属
※直系卑属とは、被相続人の子、孫、曾孫等です。
第二順位 直系尊属
※直系尊属とは、被相続人の父母、祖父母、曾祖父母です。
第三順位 兄弟姉妹
となっています。配偶者はもちろん相続人です。
2003年4月8日(火) 印紙のお話
こういう商売ですから、変わったことがなく平穏無事に過ごせたほうがいいんですけど、平穏無事だと日誌のネタに困ってしまいます。
今日ちょっと高額な不動産の売買の登記申請がありました。高額物件だと今月から登録免許税が安くなったとはいえ、数百万円の印紙を申請書に貼って法務局に提出に行かなければなりません。法務局に行く途中にひったくりに会わないとも限りませんから、肩掛けのカバンをななめに下げます。まるでNYを観光している日本人旅行者のようです(笑)。
現金で数百万というと存在感がありますが、10万円の印紙で数十枚だと迫力はありません。(10万円の印紙は80円の切手とほとんど同じです。)
迫力なくても10万円は10万円ですから、紛失したりすると大騒ぎになりますね。幸いまだ無くしたことはありませんけど。
今日はこんなネタで申し訳ないです。

【登記一口メモ】
登記申請書の登録免許税は「収入印紙」を貼りますが、登記簿謄本なんかを取得する時は「登記印紙」です。登録免許税は財務省に、登記簿謄本の代金は法務省にということなんでしょうね。あと業界が違いますけど「特許印紙」ってのもあります。印紙を貼ると割印をしますけど、上記いずれの場合も割印しちゃいけません。ご自分で登記簿謄本なんかを取得される時は気をつけて下さい。
2003年4月9日(水) 英語力って
新聞に載っていましたが、昨日バグダッドでロイター通信の記者が被弾し、4人が死傷したようです。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、私はこの仕事に就く前はロイターのサラリーマンでした。死傷した記者が私の知り合いかどうか現時点ではわかりませんが、お悔やみ申し上げます。
さてロイターの話が出たので今日は英語の話。
ロイターでは上司は外国人でした。社内文書・メール(今のインターネットを利用したものではなく、ロイター自社がもつネットワークを介したものです。90年前半では既に利用していました。)・会議・研修などもすべて英語でした。また1日に目にする文章のほとんどが英文でしたから、当時はどっぷり英語漬けでした。
しかし、会社を離れてこれだけ経ちましたから英語力もすっかり鈍ってます。さらに当時と業界が違いますから、使用する単語も全然違うので、ますますわかりません。
以前しょっちゅう使っていたCBOT, CME, LME, LIFFE, DAX, Forexなどの経済畑の単語にお目にかかることはなくなり、代りにサラリーマン時代の会話には出てきたこともない登録免許税(registration license tax)、同時履行の抗弁(plea of simultaneous performance)などの単語が出てくるようになりました。また法律文書は堅いものが多いですからさらにしんどいです。
例えば定時株主総会議事録などにある
「代表取締役 X は定款の規定に従い議長となり、開会を宣するとともに直ちに議事の審議に入った。」という文章も下記のようになります。
X , representative director has became chairman according to the stipulations of the articles of incorporation and declared the opening of the meeting and started the deliberation.
「stipulations」とか「deliberation」なんて単語はサラリーマン時代1回も使いませんでした。
もっと簡単な表現を使えばいいと思うのですが、この手の文書はお高く、お堅いようです。
今日、ある外資の社長秘書から「先生、議事録の英訳はこれでいいでしょうか?」などと質問され、結局添削しましたが、心の中では「秘書さん、あなたのほうが私なんかよりずっと英語できるんだよ。」とつぶやいていました(笑)。

【登記一口メモ】
定時株主総会議事録はMinutes of Annual Meeting of Shareholders
取締役会議事録はMinutes of Meeting of Board of Directors です。
2003年4月10日(木) 今日は大安
今日は大安です。不動産の売買や会社設立は大安に行われることが多いようです。
若い人は気にしないのかなと思ったりもしますが、さすがに昨日(4月9日仏滅)とかは抵抗があるようです。
日付のこだわりは人それぞれで、ゾロ目がいいとかカブがいいとかいろいろです。(さすがにカブがいいという人はそう多くはないですけど(笑)。)
そういう理由で、この業界では大安は忙しくなってしまいます。
日誌が短いのを大安のせいにするつもりはありませんけど、これで今日はおしまいです。すみません。っていうか今日は飲みに行きます。明日がんばります。

PS
ゆとりをもって打合せをご希望の場合は大安を避けて頂けると助かります。
2003年4月11日(金) だから大安は昨日だって!
ネタとして昨日の続きは厳しいなあと思ってましたが、今日午後4時40分にアポなし、飛び込みのお客さまがいらっしゃいました。この方が今日の日付けにこだわっていらしたので、めでたく昨日の続き。
登記申請の法務局の受付は一応5時までです。(といってもギリギリだと嫌がられますから4時30分までには申請することにしています。)
今日4時40分にいらっしゃったお客様は有限会社の設立希望のお客様でした。
有限会社設立書類セット(全部白紙)と認証済の定款、印鑑証明書、銀行の保管証明、実印をお持ちでした。以下お客様とのやり取りです。
客「法務局でOCR用紙(コンピューターで登記内容を読み取る用紙)にタイプしないとダメだと言われたので、作ってもらえますか?」
私「ああ、いいですよ。」
こういうお客もたまにいるなあと思いつつ、客の目を見る。
客「急いで下さい。」
私「えっ?まさか今日申請するつもりですか?」この時点ですでに4時45分。
客「そうです。これ(OCR用紙)ないとだめって、法務局の人に言われたので。」
机の上の全部白紙の有限会社設立書類セットに目をやり、
私「でもこれ(有限会社設立書類セット)全部白紙ですよ。」
客「間に合いませんか?」
間に合うわけないです。と思いながら、
私「どうしても今日申請じゃないとダメですか?今日大安じゃないですよ。昨日は大安でしたけど。」
客「今日じゃないとダメなんです。」
私「でもこの時間じゃどうやっても無理ですよ。」
客「でも法務局の人がこの近くの司法書士なら大丈夫って言ってましたよ。」
腕組みをして考えこむ。
私「来週の水曜日の大安とかじゃダメなんですか?」
客「今日がいいです。」
いったい今日にこだわる理由ってなんだ?と思いながら、さらに考えこむ。
私「残りの時間で完全な状態で申請なんて無理ですけど。。。」
【登記一口メモ】
ちなみに会社の設立日は登記申請をした日です。ある程度書類が揃っていれば、補正(申請後、書類などの不備の訂正・補完をすること)になるとしても(司法書士の申請で補正になるのは情けないです。)、今日申請すれば、今日の日付で受付られるますから、なんとか登記簿謄本には会社設立の年月日は4月11日と記載されます。

でもこんな白紙だらけで申請しちゃったら、「先生いいかげんにして下さい。」って登記官にメチャメチャ怒られるなあ。などと考える。時計に目をやる。4時50分。
私「どうしても今日なら、不可能じゃないですよ。」
登記官がひっくり返るような申請になっちゃうな。でもこんな場合じゃしょうがないしな。
私「ただ補正になるので、書類の補完に何度か足を運んでもらうかもしれませんよ。」
客「それでもいいです。」
しょーがない。これで申請するか。と書類をまとめようとしたとき、定款を見てたいへんなことに気づきました。

つづく
2003年4月14日(月) だから大安は昨日だって! -その2-
先週末のつづきです。
しょーがない。これで申請するか。と書類をまとめようとしたとき、定款を見てたいへんなことに気づきました。
なんと超有名企業と似た商号。しかも目的の一部が同じ。(類似商号の調査をするまでもない。)
一瞬固まってしまいました。
私「あの〜。この商号だと登記は無理ですよ。」
客「えっ?だって公証人がいいって言ってました。」
私「公証人は類似商号をわざわざ調べてくれませんよ。だってこの株式会社○○○○ってここの管轄にあるのご存知でしょう?」
もう今日提出は無理、申請はあきらめました。4時55分。
客「だってこれじゃないとダメなんです。」
これじゃないとダメって言われてもねえ。
客「なんとかなりませんか?」
私「目的が重複してる部分を削除しなくちゃいけませんね。」とその部分を指差す。
私「それか、この株式会社○○○○が商号を別なものに変更してくれれば、登記できますけど。」
客黙り込む。さらに追い討ち。
私「類似商号の調査なしで、定款の認証をやること自体が無謀ですね。定款認証もやり直さないといけませんよ。場合によってはまた認証費用(10万円弱)がかかるかもしれませんし。。。」
客「類似商号はだれが決めるんですか?」
私「法務局の登記官です。」
なあんだ。この人が決めるんじゃないんだ。とホッとした表情。
客「だったら登記できるかも知れませんね。」
そんな訳ないでしょう。
私「でも登記官も法律にのっとって判断しますから、結論は同じですよ。」
こんな融通の利かない人としゃべってもしょうがない。という雰囲気。
「でも登記官は私なんかよりずっと融通の利かないんですけどね。」と心の中でつぶやく。
よくよく書類を見ると銀行の出資払込金保管証明書にも株式会社○○○○の文字が。
銀行の担当者もよくこれで稟議あげたなあ。誰かが一言注意すればこんなことにはならないのに。
私「全部仕切り直したほうがいいんじゃないですか?」
客「月曜日に法務局で相談します。類似商号だと言われたらまた相談に来ます。」
「カンペキに類似です。」と心の中でまたつぶやく。
私「わかりました。またお待ちしてます。」(確信的に)
というやり取りが先週末ありました。
予定では今日法務局で相談してるはずなんですけど、今日お客様はお見えになりませんでした。
あの状況をどうにかするのは、素人の方には難しいと思うんですけど、どうしたんでしょう?
司法書士が関与してあの状況はありえませんから、どうやったのか私も聞いてみたいです。
本当に、このままあのお客様が再びお見えにならないとすると、株式会社○○○○が登記されるんでしょうか(笑)?

【登記一口メモ】
類似商号…同じ管轄の法務局で既に登記されている商号、目的(会社の事業内容)が同一の場合、その商号を使用することはできません。
2003年4月15日(火) 任意後見契約を締結してきました。
今日も類似商号のお客様はお見えになりません(笑)。

今日は、任意後見契約と委任契約(任意代理契約)を締結するため、委任者(依頼者)と監督人になる社団法人成年後見センター・リーガルサポートの代理人の先生と公証人役場に同行しました。平成12年にできたばかりの制度で、また港区で初めて社団法人成年後見センター・リーガルサポートを関与させての契約締結ということもあり手探り状態でここまできましたが、契約締結後、依頼者に「ようやくこれでホッとしました。」と言われました。
私が港区での契約締結1号となりましたが、新しいこの制度が知られていないだけで、必要とされる方はまだまだいらっしゃるように思います。司法書士の事務の負担が重く、なかなかやってくれる司法書士の先生があまりいらっしゃらない点も今後の課題としてあるように思います。また財産があまりない方がこの制度を利用し易くする点もなんとかして行かなければなりません。
「ホッとしました。」という言葉を裏切らないよう頑張ります。
今日はちょっと真面目な話でした。明日はこの制度を解説します。

と、ここで全体を読み返しました。文章堅すぎですね。だからって読み飛ばさないで下さい。
2003年4月16日(水) ボケたらどうする?
昨日の続きです。今日の題名は書士会が配ってる冊子のタイトルです。
事務所にいっぱいあるので、持ってって下さい。
財産目録を作成するのが大変なんですが、今回は依頼者が財産目録をご自分で、しかもWORDとEXCELを駆使して作られていたんで助かりました。(←ふつうありえないです(笑)。)

【登記一口メモ】
任意成年後見制度とは身寄りのないお年寄りが老後(特にボケがきたような場合)の不安を解消する制度です。
ボケる前(本人の意識がしっかりしている段階)に任意成年後見契約と委任契約(任意代理契約)を締結します。(公正証書によります。)自分の意識がはっきりしている段階でだれに老後の財産管理などを任せるかを決めるのです。
契約締結後どうなるかというと、具体的にはまず、1月に1度後見人になった私が委任者であるお年寄りと面談します。日常生活に支障がない場合は、それだけです。
意識がしっかりしている場合でも突然の事故などに巻き込まれ、日々の生活に支障がでてきた場合、もともとの契約内容に記載されている範囲の代理権が私に付与されます。例えば入院した病院の入院手続・病院への支払をはじめ、各種の財産管理を私がすることになります。(これが委任契約(任意代理契約)です。)当然大切な財産を管理しますので、私をチェックするために社団法人成年後見センター・リーガルサポートが後見監督人となります。
突然の事故もなく、平凡に月1度の面接をしている内に「あれ、この人ボケたんじゃないかな?」という時期がきてしまった場合、医師と相談し家庭裁判所に対し任意後見監督人の選任を申し立てます。
この時点で、任意成年後見契約がスタートします。ちょっとわかりにくいと思いますが、委任契約(任意代理契約)の段階では委任者は正常な判断ができるのに対し、任意成年後見契約の段階では委任者は正常な判断ができなくなっています。その後は委任者がこういう風に生きたい、こういう風に財産を使いたい、残したいというご本人が決めたライフ・プランにそって財産管理などを行っていきます。
2003年4月17日(木) 住居表示から地番がわかる優れもの
今日港出張所に行くと、不動産部門に新しい端末が設置してありました。
住居表示から地番がわかる優れもの端末です。いろんな出張所に導入されているので、目にされることもあるかもしれません。タッチパネル方式でなかなか快適です。
「住居表示から地番がわかる優れもの」といってもピンとこないかもしれません。
一般の方だと住居表示と地番の違いがわかってらっしゃらない方が多く、住居表示さえわかってれば、すぐ謄本取れると思っておられるみたいです。実際地番がわかってないと謄本を取得するのも面倒なんです。遠い管轄の謄本を他の司法書士に取得してもらう場合も「え〜、住居表示?」と露骨に不快感を表す先生もいるぐらいです。でもこの端末さえあれば、だいぶ違ってくるんじゃないでしょうか。以前お話した他の管轄の謄本が取得できるシステム(登記情報交換)では地番がわからないと取得できません。地番さえわかっていえば、すぐそばの港出張所でとれるのに、わからないとわざわざ他の管轄まで取りにいったりしないといけないのです。謄本取得を頼まれるお急ぎの方は「地番」でお願いします。
このネタで笑いをとろうと思って考えたんですが、無理です。
それに今日は高校の同窓会があるのでこのへんで失礼します。

【登記一口メモ】
住居表示と地番の違い…普段われわれの呼んでいる「住所」と法務局で不動産登記簿謄本を取得する際の「地番」とは同一ではないのです。住所(○○区○○町○丁目○番○号)はあくまでも住居表示であり、登記簿謄本を取るのに必要な不動産の正確な所在地とは違うのです。住居表示しかわからないときは、事前に登記簿上の地番・家屋番号を登記済証(いわゆる権利証)により、あるいは、法務局に備付けの地図又はブルーマップ等により確認します。詳しくはQ&A登記簿謄本の取り方をご覧下さい。
2003年4月18日(金) アナログ最前線
今日はいいネタがなかったので、昔話。
以前ロイターのサラリーマンだった話はしましたが、そこを辞めて、前いた司法書士事務所に初めて面接に行った日のお話。
事務所のT先生は当時すでに80歳を越えていらっしゃいました。
「はじめまして、原田です。」
「ああ、君が原田君かあ。」
ロイターではかなり社歴があり、君で呼ばれることはありませんでしたが、80歳の先生からしてみれば、まだまだヒヨッコ。当然「原田君」です。
その時、T先生は権利証の宛名書きをするために、ゆっくりと墨を擦ってらっしゃいました。いきなり書道ですか?何十年かタイムワープした気分でした。
ちなみにロイターには今のインターネットが普及する前から自前のネットワークがあり、今のEメールならぬ、ロイター・メールなるものを利用していました。社内にはパソコンはもとより、UNIXマシーンも数多くあり、インフラは当時としてはかなり整った環境にありました。他の会社に勤めたことがありませんでしたから、あの環境がふつうだと勘違いしていた私は衝撃を覚えました。こんな業界で果たして生きていけるのか?
デジタル最前線からアナログど真ん中(笑)。
そんな不安を感じた初日でした。
2003年4月21日(月) 今週末から研修開始(鬱)
いよいよ今週末から簡裁代理権取得のスペシャル研修が始まります(鬱)。
遅刻・欠席は振り出しに戻る厳しいシステムみたいです。遅刻・欠席があると今回代理権は取得できず、次回以降またやり直しになるそうです。(この間研修の説明会がありました。)休日はともかく、平日の6時からの研修で、遅刻を認めないと言われてしまうと、どれだけの司法書士が出席できるのか疑問です。また裁判所に平日9時〜5時の間見学・研修する日が2日もあり、いったいどうやって事務所を回して行くのか不安でなりません。ただただこの期間何事もないことを祈るばかりです。
適当な息抜きを最も必要とする私は、この期間のストレスをどう発散するか今から悩んでいます。平日の10時ぐらいから一緒に飲んで頂ける方募集中です(笑)。
2003年4月22日(火) 「名刺がないのに職業がわかる人」
うちの事務所は道路に面した1階です。東京では選挙が近づいてきましたので、選挙カーが頻繁に通ります。正直「うるさいです。」でも1階なりのメリット(法務局にすぐ行けるとか、お客様のアクセスが楽とか)があるので、ここは我慢我慢です。
たまに我慢の限界を超える被害に合うこともあります。以前ここでちょっと触れた「名刺がないのに職業がわかる人」が飛び込み客としてくると最悪です。
事務所の前に黒塗りのベンツなんがが駐車して、そこから「名刺がないのに職業がわかる人」が「今日中に登記してくれ。」なんて来られるともう大変ですね。
今の事務所に引越す時にお客様の一人が「看板は出さない方がいいんじゃないの?」と言ってくれました。でも、そうそうそんな被害はないだろうと思っていた看板を出した初日、引越しして初めてのお客様が「名刺がないのに職業がわかる人」でした(笑)。今でこそ笑えますが、あの時はパニックでしたね。ま、こんな風に経験を積むんでしょう。たくましく成長していく様を見守って下さい(笑)。
2003年4月23日(水) 遺産争い
最近相続で揉めた案件の登記が続いています。
遺産は多いとやっぱり揉めることが多いですね。父親が死亡してもまだ母親がいる場合が多いので、この時点ではまだ揉めませんが、母親も死亡するといよいよ兄弟の争いが始まるようです。お互い弁護士をたてて、2年〜3年争い続けることもあります。
亡くなられた方は、かわいい?子供たちが自分の遺産で争うなんて想像しない場合が多いですから、遺言がないと揉めますね。
遺言書も専門家に頼んで作成してれば問題ないんでしょうけど、本人が適当に作成したものだと、この争いの火に油を注ぐようなもんです。
よくテレビドラマなんかでワープロで作成した遺言書の最後に直筆で署名して捺印(拇印)をしてあるものを良く見かけますが、実はあれはアウトです。(最近微妙な判例は出ましたけど)

【登記一口メモ】
原則として遺言は「自筆証書遺言」(遺言内容・日付・氏名を遺言者が全文自書し、これに印をおさなければならないもの)、公証人が関与する「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類しかありません。さっきのテレビドラマのやつは全文が手書きでないのでダメということです。民法で遺言に厳重な方式を定めてますので、例外は認められません。

ここで、知ってそうで知らない遺言の知識。(○×問題です。)
Q1 中学生は遺言をすることができる。
Q2 夫婦そろって連名の遺言ができる。
Q3 遺言書の日付が平成15年4月吉日とある遺言書は有効である。
Q4 遺言者の名前が芸名(ペンネーム)のものは無効である。

業界関係者は読み飛ばして下さい(笑)。解答は明日ってことで。
2003年4月24日(木) すみません。正解は明日必ず。
解答は明日ってことで。と昨日書いておきながら、解答は明日にします。
すみません〜〜。
実は夕方5時すぎに事務所に戻り、事務所の報告を聞いてたら、5時50分。よくよく考えたら、今日6時から港区の役員会でした。慌てて会に出席し、ミーティングの後、やっぱり飲み会。只今11時15分。気合を入れて日誌の更新のために、事務所に戻ってきました。とはいえ酔っ払っておりますので、昨日の正解発表は明日とさせていただきます。
この状態で解説を書く気力などありません。
ただ、飲み会を終えて、事務所に戻りこの時間に日誌をつけてる私を評価して下さい。
ほんと申し訳ない。明日必ず!
2003年4月25日(金) 遺産争い−正解発表
いよいよ明日から法廷に立つための第一歩、特別研修が始まります。東京での研修内容をライブで各地に発信するそうです。この研修の初回ですし、なんらかのアクシデントがあありそうです。
昨日はすみませんでした。正解発表です。
Q1 中学生は遺言をすることができる。
答えは×。厳密に言うと15歳の誕生日を迎えた中3は遺言できます。(民法第962条)
未成年でも15歳であればいい訳です。現実にはなさそうです。
Q2 夫婦そろって連名の遺言ができる。
答えは×。共同遺言は禁止されています。((民法第975条)遺言は後日自由に撤回できるのが原則です。共同でしてしまうと、片方が自由に変更できなくなりますから、認められません。
Q3 遺言書の日付が平成15年4月吉日とある遺言書は有効である。
答えは×。これを認めない判例があります。遺言は後日自由に撤回できるのが原則ですから、正確にいつその遺言が作成されたかが大切です。平成15年4月の遺言がもう1通でてきたらどっちが後日作成したものかわからず困りますよね。一般常識だとよさそうですけど、こんな理由で×です。
Q4 遺言者の名前が芸名(ペンネーム)のものは無効である。
答えは×。例えば杉本高文でなくて「明石家さんま」で有効な遺言となります。誰が遺言したというのがわかればいいんですね。もちろん自分しか知らない、ごく少数しかわからないペンネームでは無効になるんじゃないでしょうか。「氏名の自書とは遺言者が何人であるかにつき疑いのない程度の表示があれば足り、…」という判例もあります。一般常識だとダメそうですけど、有効です。
どうでしたか?お出来になりましたか?相続人が揉めないための遺言。かえってトラブルになるような遺言の作成は止めときましょう。繰り返しになりますけど、業界で遺言は「いごん」と発音してます。遺産分割協議で「いごん」と発音してる親族がいたら注意しましょう(笑)。
2003年4月28日(月) 特別研修いよいよはじまる!
いよいよ始まった特別研修に昨日、一昨日と出席してきました。研修費75000円だった分、ライブ中継等設備にだいぶお金をかけてます。休み時間にはなぜか「サザンオールスターズ」の曲が流れてました(笑)。研修の内容はインターネットで公開しないようにとの御達しがありましたので、内容は割愛させて頂きます。東京の会場(日司連ホール)では2日間で遅刻者0でした。みんな気合が入ってるようです。1講義ごとに出席の確認があり、早退者がいないように見張りまでいて、がんじがらめの2日間でした。ずっと座りっぱなしでエコノミー症候群になりそうです。
今日、明日、明後日もその後も研修。課題もたっぷり出ています。安息の日はいつ訪れるのでしょうか??

PS 今日月曜日というかんじが全くしません。(体内時計的には金曜日(笑)。)

【登記一口メモ】というより訴訟一口メモです。平成15年4月より司法書士法の改正があり、法務大臣の認定を受けた司法書士は簡易裁判所での訴訟代理権が付与されます。今回の特別研修はこの法務大臣の認定を得るためのものです。認定がでると訴額90万円(改正されて140万円に引き上げられそうですが)までの訴訟代理人となれます
2003年4月30日(水) グループ研修
おとといからグループ研修が始まりました。研修3日目からは5〜10人のグループ単位でのグループ研修です。課題が与えられてますので、その内容を吟味するといった形で研修は進みます。事務所を早めに閉めてしまったため、「おととい事務所にお伺いしましたけど、閉まっていました。」との苦情がさっそくありました。1ヶ月ほど事務所を早終いします。ご了承下さい。研修が終わって「さあ、軽く一杯いきますか?」とグループの皆様をお誘いしたのですが、皆さんまだ仕事が残っているらしく、「いまから事務所に戻りますので、すみません。」とのお返事。一人取り残されてしまいました(笑)。皆さん真面目ですね。
日付け変わって、世間ではゴールデン・ウィーク初日。研修4日目(昨日)、晴天の中、お台場に研修を受けに行ってきました。カップルや家族連れが楽しそうにしてる中、六法を持ってお台場にいる私はなんなんでしょう? この日は朝から丸一日缶詰でした。グループの親睦を図らねばとこの日も飲みに誘おうとしたのですが、「明日の立会いの準備がありますので…」とまた断られました(笑)。言い訳がましいようですが、私はただ飲みたい訳ではありません。私も暇ではないのですが、長丁場を乗りきる皆さんとの親睦が深まればという親心からであります(笑)。
今日もグループ研修です。これから予習します(泣)。

PS 事務所の近所に六本木ヒルズができました。4日間で100万人の入場者があったようで、前より人が多くなりました。私はいつ行けるんでしょうね?

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