業務日誌
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2003年6月2日(月) キリマンジャロ−その7
夜テントで中々眠れません。いらいらしてきます。他のグループの人に脈を計ってもらったところ、安静時なのに180です。安静にしているのに短距離走直後のような脈拍はきつ過ぎます。これで登り始めたら脈拍は200を簡単に超えてしまいそうです。めちゃめちゃ頭痛もしてきました。まさかこれが高山病か?普通に生活していると高山病かかることもありませんが、とにかく苦しいです。水を飲むと楽になるといわれ、ひたすら水分補給しました。
水を飲むとトイレに行きたくなります。近くにトイレはありませんから、その辺ですることになります。テントから50メートルほど離れたところに茂みのようなところがあり、そこで用を足せばいいのですが、歩くのがキツいのでテントを出てすぐのところでしてしまいました。とても気分の悪そうな私に、同行している冒険野郎たちは「こんな近くでするなよ!」とか文句言いませんでした。気の毒だと思われたようです。他のグループでは、脱落者が出て山を降りていきました。高山病は治すにはただ山を降りれば治るそうです。モスクワを経由してここまで来ているのに、これで降りて帰ると一生何もできない奴(ヘタレ)になりそうな気がします。「失敗したら」と考えれば考えるほどヘコんでしまいます。あまり気分が悪いと言ってると山を降りることになりそうだったので、結局静かにしていました。自分の心臓の鼓動だけがテントの中に響きます。


P.S.
昨日の考査で特別研修は全て終了しました。どんな問題が出るかわからない試験を受けるのってキツイですね。試験問題は持ちかえり可でしたので、2回目以降の人達はだいぶ楽になりそうです。(時間があったら問題をUPしておきます。)ご高齢の受験者は何十年ぶりの試験だったと思います。問題を解いている様子が痛々しかったです。結果は7月ぐらいに発表されるみたいです。この頃になっても結果に触れないようでしたら、そっとしておいて下さい。
私のお客様の中には、考査終了まで質問を遠慮して下さった方(ありがとうございます。)もいらっしゃいました。が、今日から皆さんが一斉に質問されるので、考査が終わったのにかえって忙しくなってしまいました(笑)。
2003年6月3日(火) キリマンジャロ−その8
夜12時に起きて朝食を取りました。(ビスケットと紅茶)が、すぐに吐いてしまいました。
とても登れるかんじではありません。しかし「一生何もできない奴(ヘタレ)」になりたくない一心で登ることにしました。基礎体力なかったら、終わってたと思います。2度3度吐いてたら、いよいよアタックの時間になってしまいました。午前1時、あたりは真っ暗です。ここまでなだらかだった山が突然険しくなりました。斜面が急過ぎるので、ジグザグしながらでないと登れません。空気が薄く、深呼吸しても酸素が入ってきません。分厚い蒲団の中にもぐって口をタオルでふさいでいるようです。一歩一歩登ることもできなくなり、半歩ずつ登ることになってしまいました。あたりはすっかり深い雪山です。
途中チョコチョコ吐きました。みんなよりペースが遅いので、大分離されてきます。
キボハット側から登ると頂上はギルマンズポイント(5,685m)というところです。
ところがこの山とても意地悪な形をしています。
キリマンジャロの山頂はすり鉢(というよりカップ)のように中央がへこんでいます。へこみの部分は数百メートルの深さがあります。意地悪な形というのは、キボハットから頂上を目指す通常の登山ルートで行くとギルマンズポイント(5,685m)に到着するのですが、そこから見えるこの大きなカップの反対側のほうがちょっと高いのです。つまり本当の山頂(ウフルピーク(5,895m))に到達するには、高度5700メートルのカップのふちをエンエンと半周(約4キロほど)歩きつづけなくてはならないのです。しかもカップのふちは5メートルから20メートルぐらいの幅しかありません。落っこちたら簡単に死んでしまいます。この山の一番厳しいところです。そんな事情のせいかここまで来て引き返す人たちも結構います。(ちょっと言葉で表現するの難しいです。ご理解頂けましたでしょうか?)

P.S.
考査終わってるのに、ダラダラとキリマンジャロのネタばかりじゃないかとお叱りを受けてしまいそうですが、もう少しで終わりますのでお付き合い下さい。
今日考査問題をアップしました。要件事実の勉強をしっかりやっていれば、簡単だという人もいますし、深読みすると難しいという人もいます。興味ある人はトライしてみて下さい。
お読みになったご感想を是非お聞かせ下さい。
2003年6月4日(水) キリマンジャロ−その9
でもここまで来たら行くしかないですよね。カップのふちをしばらく歩くと太陽が昇ってきました。真っ暗だったあたりが急に明るくなりました。回りの風景はクールミントガムの包装紙のようです。(イメージ湧きますか?)あちこちに青白い巨大な氷の壁があります。
赤道直下なのに南極のような景色です。途中で一度足を滑らせました。大きな雪の塊がすり鉢の中を転げていきます。後で聞いたところによると、他のグループは私が落ちたと思っていたそうです。くわばら、くわばら。半歩半歩あるくのが苦しく、気のせいか手にはめたグローブや上着が重く感じられます。よっぽどグローブと上着を捨てようかと思いました。今考えるとどうにかしてますね(笑)。
キボハット出発して9時間ぐらい経過したでしょうか。とうとうウフルピーク(5,895m)に到達しました。そこには小さな看板があり「Highest point in Africa」と書いてありました。冒険野郎たちは待ちくたびれた様子でした。ベテランのシェルパはこの頂上でなんと煙草を吸って待っていました。(こっちは酸素がないっていうのに信じられません。)育った環境でスゴイですね。
あとはひたすら降りるだけです。気分もどんどん良くなるはずです。
冒険野郎はこの高度なのに走って降りて行きました。結局イギリス人の冒険野郎見習と降りることになりました。登りと違って下りは楽です。しかし私の体調が良くないので、他の人たちと離されてしまいました。そのうち、他のグループをすっかり見失ってしまいました。3時間も降りればもとのキャンプ地に着くはずです。ところが4時間たっても5時間たってもキャンプ地に到着しません。どうやら降りるルートを間違ったみたいです。
イギリス人の冒険野郎見習とは口論が続きます。人間って極限では本性でますね。相手をいたわる気持ちが無くなってきます。
冷静に考えても考えなくても我々は遭難したみたいです。
2003年6月5日(木) キリマンジャロ−その10(完結編)
テレビで「おい、眠るな!」と言いながら相手の顔をひっぱたく遭難シーンがありますが、それと同じで、すっかりクタクタの私は眠くなってきました。「10分眠る。あとで起こして!」と冒険野郎見習に吐き捨てるように言うと雪の中に座り込み寝てしまいました。
「Masa , wake up!」どうやら10分たったようです。見ると自分の体全体を雪が覆ってました。「こりゃ、眠ると死ぬな。」テレビのシーンは本当みたいです。
歩いても歩いてもキャンプ地に到着しません。
日も暮れそうになった時、遠くにいたシェルパが我々を見つけてくれました。やっと寝れる。そんなことをぼんやり考えてました。自分では遭難というより、ちょっと迷子になったぐらいに思っていたのですが、キャンプ地につくと大騒ぎになってました。皆さんに謝った後、グッスリ寝てしまいました。
小1時間たった頃、無理やり起こされました。「疲れていても高度が低いところに移動したほうがいいから。」というもっともな理由で、すぐに降りることになりました。ふらふらになりながらも、数日前にいたマンダラハットに到着。カップラーメンを食べて、すぐ吐いて寝てしまいました。
次の日ようやくゲートに到着。山を降りる時の記憶はあまりありません。ただ麓のホテルで数日ぶりに浴びたのシャワーが気持ち良かったことだけ憶えています。やっと娑婆に戻れた感じがしました。(完)

P.S.
結局10日分の大作になってしまいました。「どこが業務日誌じゃ〜!」とお叱りを受けそうな内容が続いてしまいましたが、明日からは従来の形式に戻ります。またネタ探しに悩まされる日々が続きそうです。
2003年6月6日(金) 笑う相続人
「笑う相続人」という言葉を聞いたことありますか?
子供のいない夫婦で夫が死亡すると、相続人は奥さんと直系尊属(おじいちゃん・おばあちゃん)になります。夫が高齢の場合、直系尊属はすでに死亡していることが多いので、その場合は夫の兄弟姉妹が相続人になります。さらにこの兄弟姉妹が死亡していると甥・姪が代襲して相続人となります。
しかしここで困ったことが起こります。例えば
@夫のお兄さん(義兄)が若い時に結婚
A子供が生まれた後、離婚。
B子供は義兄の別れた前妻が引き取る
Cその後義兄が再婚し、また子供ができた
Dその後奥さんが夫と結婚
こんなケースだと奥さんは義兄が過去に離婚したことすら知らないことが多いですし、義兄の前妻との間に子供がいることも夫の親族から知らされないままということがある訳です。
逆に義兄の前妻との間の子供(甥・姪)からすると生まれてから一度も会ったことのない、場合によってはその存在すら知らない人の相続人になってしまうのです。死亡した人を知らず、葬式があったことも知らず、ある日突然あなたが相続人です。と連絡があるのです。
このような相続人を業界では「笑う相続人」と呼びます。
唯一の財産が奥さんの居住している建物(夫名義)だけだと、場合によっては奥さんと笑う相続人の共有財産になってしまいます。子供のいない夫婦間の相続ではこんなことがありますので、やっぱり遺言を作成するに限りますね。
2003年6月9日(月) 会社の目的
今日は会社の目的のお話。会社の目的とは会社の事業内容のことです。
会社が新しい事業を始める時、会社を設立する時にはこの会社の目的を決めなければなりません。実はこれが結構クセ者です。なんでもいいかというとそうじゃありません。例えば「不動産の売買」はOKですが、「不動産の販売」だとNGです。建物の販売はあっても土地の販売はありえない訳です。土地は作ることができませんから、どっかから仕入れるしかないという理屈だそうです。目的には具体性・明確性がないと登記できないのです。(原則)
目的の具体性・明確性に気をつければそれでOKかというと、申請する場所(会社の本店所在地)によって登記できる、できないがあります。「以前の会社(横浜)ではこの目的で問題なかったのに、今度(港区)は登記できないって納得できない。」とかお客様に言われることがあります。ごもっともな話で私も納得してません。管轄の法務局の担当登記官が判断しますから、全国的な統一基準がない現状だとこんなことになる訳です。一般には、商都大阪は登記できる範囲が東京の基準より広いようです。
これは私の印象ですが、大阪>名古屋>地方都市>横浜>東京>東京商業地の順に範囲が狭くなっているようです。

【登記一口メモ】
去年ローマ字商号が認められるようになった影響で、目的にローマ字を使ってもよくなりました。「コンパクトディスク原盤の制作、管理及び販売」→「CD原盤の制作、管理及び販売」でOKです。
昔、インターネットプロバイダー業は当然登記できませんでしたが、今では何の問題もありません。(でもダメな法務局があるかも知れません)このくらい有名な目的も大丈夫ですと断言できないのも困りますね。
2003年6月10日(火) 招集期間1週間
今日は平成15年4月1日に施行された商法改正(コーポレートガバナンス関係)のお話。
先月から今月にかけて定時株主総会を開催される会社が多い時期です。監査役の任期が3年から4年に変更になったりしてますので、この総会で商法改正がらみの定款を変更しようとする会社も多いのです。
会社の体制がしっかりしている企業は、一連の商法改正を踏まえて、定款を変更する手続を取っているようです。
今回の改正で実に小規模の会社向きの変更内容があります。
それが
@書面等による株主総会決議に関する条項
A株主総会の招集に関する条項 です。
@は商法253条1項で新設された箇所ですが、議決権を有するすべての株主が取締役又は株主の提案の内容、その提案に同意する旨を記載した書面によって当該提案に同意したときは、当該提案を可決する総会の決議があったものとみなすとされました。つまりこの制度を利用すれば株主総会そのものを開催しなくてすむことになります。
またAは株主総会の招集通知を会日より2週間前に発することを要するもの(商法232条1項本文)の例外として定款に譲渡制限がある会社(商法204条1項)では、定款をもって1週間を限度として短縮する旨を定めることができるようになりました。(商法232条1項但書)
これらの改正点は非公開の株主小人数の会社ではかなり役に立つものだと思います。しかし、現実には、この手の会社には法務部も普通ありませんし、担当者も専任ではなく、他の業務の片手間にやられています。
株主が社長一人とか同族会社ならまだしも、他の方に出資してもらっている以上このあたりの手続は経営者としてきちんと遵守して欲しいと思います。遵守するなら、管理が楽なほうがいいですから、このあたりの商法改正を踏まえた定款変更を検討されてはいかがでしょうか?
お客「先生、招集期間1週間になったんでしょ?」と総会の2週間前に招集通知のチェックを頼まれました。
私「でも総会で定款変更してからじゃないとダメですよ。」
お客「えっ、商法改正したんじゃないんですか?」
私「改正してますけど、定款変更してからじゃないとダメですよ。」
お客「。。。」
私「ぎりぎり間に合いますから、急ぎましょう!」とまたしてもドタバタです。ちゃんと条文読みましょう(笑)。

【登記一口メモ】
第232条 総会ヲ招集スルニハ会日ヨリ2週間前ニ各株主ニ対シテ書面ヲ以テ其ノ通知ヲ発スルコトヲ要ス 但シ株式ノ譲渡ニ付取締役会ノ承認ヲ要スル旨ノ定款ノ定アル会社ニ於テハ其ノ期間ハ定款ヲ以テ1週間ヲ限度トシテ之ヲ短縮スルコトヲ妨ゲズ
2003年6月11日(水) B5サイズ
さっきからいいネタないか、事務所をグルグル回ってます。新聞の細かい記事をさがしたり、まるで〆切に追われた4コマ漫画家のようです。
散々考えた末「申請書」の話。
ほとんどの企業で書類というとA4版だと思います。前の職場でもA4用紙以外を使うことはほとんどありませんでした。そういった世間の流れなのか裁判所に提出する書類もA4サイズに変更されましたし、公証人役場でも定款はA4サイズにして下さいという所が増えてきました。しかしながら我々の業界ではB4用紙・B5用紙を主に使用しています。ご存知のように登記簿謄本はB5サイズですし、普段の登記申請は不動産・商業登記ともB4用紙を二つ折りして行っています。
お客様が、司法書士が使用している申請書を見る機会はほとんどありませんから、司法書士の業界標準がB5サイズということをご存知ない方もいっぱいいらっしゃると思います。例えば委任状をお客にメールで送信して、プリント・アウト後押印してご送付頂くと、B5サイズの原稿がいびつな形でA4用紙に印刷されたものに押印されて戻ってくることがよくあります。(わかってらっしゃるお客様も、会社にB5サイズの用紙が無いだけかも知れません。)
ページのレイアウトもろくに出来ないのかとか、パソコンのスキルが無いとか思わないで下さい。変な業界なんです。(一応Windowsは3.0の頃から仕事で使ってました。最近の若い人は見たことないでしょうね。ちなみに日本語は使えないバージョンです(笑)。)
2003年6月12日(木) すみません。今日はドタバタ
すみません。今日はドタバタしてます。明日アップしますので、許して下さい。
2003年6月13日(金) マイホーム・パパ
昨日からドタバタ続きで、ちょっと大変です。7時過ぎにようやく打ち合わせが終わり、事務所に戻ってきました。ここからゆっくり日誌を書けばいいのですが、今日は事情が違います。
普段は仕事が終わると、私ばかりが飲みに行くのですが、今日は数ヶ月ぶりにうちの奥さんが飲みに行く番です。その間、2歳の子供の面倒を見なくてはいけないので大変です。
普段迷惑をかけっぱなしなので、今日ぐらいはゆっくり楽しんでもらいたいところです。
こうして日誌を書いていますが、刻一刻とうちの奥さんの飲みに行く時間が近づいています。今日は奥さん想いのマイホーム・パパに免じてこのくらいで失礼させて頂きます。
明日また事務所にでますので、時間があったら、またアップします。
どうしようもない内容で申し訳ないです。_(._.)_
2003年6月14日(土) 結婚式に出席
予定通りの休日出勤です。明日久しぶりに結婚式に出席します。私もいい年なので、回りで結婚するという同年代の人間も減ってきており、1年ぶりの出席となります。1年ぶりに1年前購入した礼服にuを通してビックリ!ピチピチで着れません。ズボンがきつくてはけないならまだしも、ダブルのスーツの上着がきついって、一体1年間で私の身になにが起こったんでしょう(笑)?慌てて新しい礼服を購入することになってしまいました。
ところで、ほとんどの法務局は駅から遠いところにあります(徒歩10分から15分)。登記の申請は当事者出頭主義が原則となっており、登記申請のたびに法務局に直接出向かなければなりません。登記簿謄本は郵送で取得できますが、申請は郵送不可ということになってます。(将来オンライン申請になるという話ですが。。。)この業界では事務員のことをなぜか補助者と呼んでいますが、登記申請(外回り)はこの補助者が行うことが多いようです。補助者という呼び方に対して司法書士(事務所のボス)を本職と呼んでいますが、本職が外回りで飛び回ることは、あまりありません。電話やメールによる質問に答えたり、接客したり、申請書類の確認をしたり、はたまた私のように業務日誌を書いたりで1日が終わってしまいます。長々と説明してきましたが、要は私が太った理由を書いてる訳です。
もともと高校の頃、理系だったため、医者の友達が多いのですが(明日の新郎もそうです)、会うたびに「いいお客になったね。(成人病一直線だね。)」と言われてしまってます。このままじゃいけないと頭では理解していますが、重りをぶら下げた体が言うことをきいてくれません。買ったばかりの礼服がブカブカで着れないということになるべく、多少努力していきたいと思います。

P.S.
太ったというネタでよく「当事者出頭主義」に辿り着いたと我ながら感心してます(笑)。
2003年6月16日(月) マスオさんとノリスケさん
昨日結婚式に出席し、スピーチさせられました。結婚式でスピーチは困りますね。スピーチのあまりの出来の悪さに自己嫌悪です。でもおめでたい事ですから我慢我慢。
ところで、よく結婚式の親族控え室で新郎の父親と新婦の父親が「これからは親戚同士ですから、今後ともひとつ宜しくお願いします。」という話をしていますが、新郎と新婦が結婚しても新郎の父親と新婦の父親は親戚同士ではありません。正しくは「これからはうちの息子とあなた、あなたの娘さんと私は親戚同士ですから、今後ともひとつ宜しくお願いします。」です。(←でもこんなこと言わないですね。)中学の社会の時間にも習いますが、親族の範囲は@六親等内の血族、A配偶者、B三親等内の姻族です。(民法第725条)
どうでもいいことだなあと思いつつも、心の中でそっとつぶやいていました。一度お暇があればご自分の民法上の親族を書き出してみて下さい。思わぬ人が親族だったり、親しいのに親族ではなかったりします。きっと新しい発見があると思います。例えば漫画「サザエさん」の登場人物でいうとマスオさんとノリスケさんは親族ではありません。(どーでもいい話ですみません。)
さて、今日はこれから東京司法書士会港支部の役員会です。ちなみに港支部には司法書士が約140名います。この間苦しめられた簡裁代理権の特別研修を受けた司法書士はその中で10名しかいません。私以外の役員で研修を受けた方はいらっしゃらないので、研修についての詳細を発表しなければなりません。偉そうに発表したとしても、この時点で考査に合格してるかどうかわからないので、受かってなかったら立場がありません(笑)。不安ですけど、発表してきます。
2003年6月17日(火) いろんな飛び込み営業
一日事務所にいるといろんな人がきます。法務局の場所を尋ねる人(うちの事務所より法務局のほうがよっぽど目立つと思うんですけど)、コピーなどの事務機の営業、富山の薬売り、証券会社の営業、商品先物の営業(頼むから帰って下さい。畑のルビーには興味ないです(笑)。)、司法書士ソフトの営業などが飛び込みで来ます。この業界特有だなあと思うのが地図屋さん、ハンコ屋さんです。
地図屋さんの飛び込み営業って言ってもイメージ湧かないと思います。地番が載ってる業界で使う地図の営業です。全部揃えるとセットで70万円くらいのシロモノです。あると便利なんでしょうけど、ちょっと購入する気力が萎える値段ですよね。
ハンコ屋さんもふつう飛び込み営業はなさそうですけど、司法書士事務所には遠く山梨からやって来ます。ハンコといっても柘植・オランダ水牛・黒水牛・チタンとさまざまな素材のものを販売しています。黒水牛・チタンは落してもハンコが欠けにくいので、他と較べると高いですけど、業界では好んで使われてるようです。会社の設立なんかがあると法人の印鑑セットが必要になるんで、ハンコ屋さんからみると司法書士はいいお客さんなんでしょう。
ハンコ屋さんは、渋いとこでは朱肉も扱っています。普通の朱肉は30年ぐらいで薄れてしまうそうですが、高い朱肉(日本画・書道の落款で使用するもの)は50年以上もつそうです。これが朱肉の値段?というぐらい高いです。ハンコ屋の営業は「50年以上持ちますからいいですよ。としきりに奨めますが、50年以上経って「やっぱり高い朱肉は薄れないなあ。」と確認し、感動する機会はないですよね。お客の中にはこの高い朱肉で押印した書類を持ってくる人もいますけど、朱肉の色を見る度に「この人お金持ちだな。」と変なところで感心してます(笑)。
2003年6月18日(水) 支店所在地における登記
あらかじめ断っておきますが、今日のネタは面白くないです。そうそう毎日いいネタは転がってません。じゃあいつもは面白いのか?と言われるともっと困りますけど(笑)。
先日当事者出頭主義の話をしましたが、その例外として支店所在地における登記というのがあります。支店所在地における登記は郵送で申請できます。
例えば東京が本店で、支店が大阪にある会社が登記する場合は次の手順になります。
@通常通り東京で申請をします。
A2週間ぐらいで登記が完了した時点で変更された本店の登記簿謄本を取得します。
Bその登記簿謄本を申請書の添付書類として支店(大阪)の法務局に郵送で申請します。
C2週間くらいで支店所在地でも変更登記がされればお終いです。
支店が大阪だけであれば楽ですが、全国に支店を持ってる会社だと支店の数だけ申請しなくてはなりません。支店も大都市だけだといいのですが、「こんな地名聞いたことないよ。」って地域の法務局に申請しないといけない場合があります。
今日のがそれだったのですが。。。
なんとなく変な感じがしたのと、あまりにもマイナーな地域だったので、「全国登記管轄等一覧−平成14年7月1日現在」(業界内では最新版)という本でその地域の管轄法務局をもう一度調べてみることにしました。その法務局でいいのか一応確認の電話をかけてみたところ「この電話は現在使われておりません。。。。」というアナウンス。番号間違えたかなと思って再度電話してみましたが、やっぱり同じアナウンスでした。不思議に思ってその近所の法務局に電話したところ、「ああ、○○○○出張所はなくなりましたよ。それは今うちで扱ってますから。」とのお答えでした。関東エリアですと法務局からお知らせが来ますが、遠いとお知らせもありません。
失敗しないためには地味な確認作業も必要ですね。というお話なんですけど、たいしたオチもなくすみません。ま、失敗しなくて済んだということで。
2003年6月19日(木) 1円会社
特別研修の合格発表はまだありません。いつ発表するかも知らされておりません。この調子だと法務省のHPでいきなり発表となりそうです。様々なデマが飛び交っており、落ち着かない日々です。港支部では合格者による試験対策をテーマに今度セミナーを開くそうです。なぜか私が講師役だそうで、ますます不合格でしたといえない状況になってきました(泣)。
昨日の大安を無事乗り切りましたので、今日は午前中ちょっと時間がありました。最近1円で会社が作れるようになった関係で、その手の質問が多く説明するのが大変だったので、HPをリニューアルしました。「会社設立」というコーナーを作りましたので、興味ある方はクリックして下さい。ここ

昔と違って大抵の方はインターネットできる環境にあるので、説明の代りに「詳しくはホームページで!」とどこかのCMのような回答をしています。今度フジテレビでこの1円会社の特集をゴールデンの時間帯に放送するそうで、ご近所の港法務局にテレビクルーが来ておりました。私は写ってないと思いますが、お暇なら見て下さい。(といったものの内容などは全く知りません。面白いかどうか責任持てません。)この日誌よりマシだと思いますけどね。(←最近ヒットするネタがなくて、ちょっと自虐的です。)
2003年6月20日(金) 条文の話
掲示板に条文の話がでましたので、今日は条文の話。
条分の数でいうと憲法は103条、民法は1044条、商法は851条、刑法は264条あります。やっぱり民法が多いですね。これだけ条文が多いと理解するのが大変そうですが、マイナーな条文は試験勉強でちょっと触るぐらいです。掲示板でゾロ目で有名な555条(バイバイ)の話に触れましたが、同じゾロ目でも222条(水流地の所有者は〜)とかは、試験問題にもなりませんし、実務で使うことはまずないです。(田舎だとあるのかな??)

ところで、民法ができたのは明治の頃です。刑法や民事訴訟法は最近大改正がありましたので、ひらがなまじりの読みやすい条文ですが、民法はカタカナまじりの古い読みにくいスタイルのままです。何度も改正を繰り返して今の民法になってる訳ですけど、改正されずに放置され、古い明治時代を感じさせる条文があります。
民法第317条「旅店宿泊ノ先取特権ハ旅客、其従者及ヒ牛馬ノ宿泊料並ニ飲食料ニ付キ其旅店ニ存スル手荷物ノ上ニ存在ス」
今どき「従者」はないだろうとか思いますが、「牛馬ノ宿泊料並ニ飲食料」はもっとありえないですよね。「こんなマイナーな条文を紹介してどうするんだ!」とお叱りを受けそうですが、でもこの条文、過去の司法書士試験で聞かれたこともありますので、ほとんどの司法書士は知ってるメジャーな条文です。(実務じゃ使いませんけど。)

P.S.
555条は有名な条文ですので、覚えておいて損はないです。それでは555条!(司法修習所の教官のオヤジギャグです。詳しくは掲示板に書いてあります。)
2003年6月23日(月) 健康な生活
時節柄、次々と定時株主総会が開催されています。役員の押印が済んだ議事録や委任状が事務所に届きます。届いては申請、届いては申請の繰り返しです。議事録の押印がしっかりされていれば良いのですが、押印が洩れていたり、違うハンコが押してあったり、取締役Aと監査役Bのハンコが同じだったりと色んなミスを発見しては、また押印をやり直ししてもらっています。(Q&Aに印鑑の押印の仕方について説明してありますので、ご不明な点がありましたら、そちらを参考にして下さい。)
あと3週間はこんな感じの役員変更登記が続きます。7月も第3週になると業界も暇になるので、それまではこんな毎日です。毎日似たような登記申請で飽きてしまいそうですけど、先例もないような変化に富んだ申請に苦しめられるよりはずっと楽です。しかしながら、比較すると楽だというだけで、注意力を維持したまま書類を確認する作業は、そんなに楽でもありません。ついついタバコの本数も増えてしまいます。書士会から人間ドックのお知らせが来てましたので、暇を見つけて検査に行くつもりです。こんな話をしつつも、来月タバコが値上りするので、「今のうちに買いだめしなきゃいけないな。」とも思っています。健康な生活はなかなか送れそうにありません。

P.S.
試験から2ヶ月、やっと7月28日に特別研修の考査合格者の発表があるそうです。
2003年6月24日(火) 監査役の任期−問題
今週定時総会の集中して開催されます。議案に反対する株主も増えているみたいです。
いきなりですが、

【登記一口メモ】
商法の改正で監査役の任期が4年になりました。正確には平成14年5月1日施行の改正により、「監査役の任期は就任後4年内の最終の決算期に関する定時総会の終結の時までとす。」(商法第273条第1項)になりました。ただし、経過措置がありまして「既存会社の監査役で平成14年5月1日後に到来する決算期に関する定時総会の終結前に在任する者の任期は従前どおりである」とされています。(附則7条)

という改正点をご理解頂いているという前提で、さて問題です。
問題 決算期が3月の会社で、今週行われる定時総会で監査役Aが任期満了し重任、監査役Bが新たに選任され、それぞれ即時就任を承諾すると監査役の任期はいつまででしょう?

現在          今回の定時総会で変更後
監査役A     →       監査役A
                   監査役B

ちょっと解説が長くなってしまいましたので、正解は明日発表します。
2003年6月25日(水) 監査役の任期−解説
正解は監査役Aは平成19年の決算期に関する定時総会の終結の時まで、監査役Bは平成18年の決算期に関する定時総会の終結の時までです。
ちょっとひねくれた問題でしたけど、正解されましたか?
監査役Aのもともとの任期は今回の定時総会終結の時までありますので、即時就任承諾しても新しい任期は定時総会終結後にスタートします。ですから商法第273条第1項に該当し、平成19年の決算期に関する定時総会の終結の時まで任期があります。ところが監査役Bは即時就任を承諾してますから、任期は定時総会中から始まります。となると附則7条の「既存会社の監査役で平成14年5月1日後に到来する決算期に関する定時総会の終結前に在任する者の任期は従前どおりである」に該当しますので、従来の3年の任期になりますから、平成18年の決算期に関する定時総会の終結の時までとなります。
訳わかんないですよね。実務の現場は混乱しており、そもそもこの問題の監査役Aについても定時総会中で即時就任を承諾しているから3年だという学者もおり、意見が分かれています。そのため現場がそれに振り回されているようです。東京法務局では、「この場合の監査役Aは4年の任期という理解で対応しています。」とのお答えでしたが、他の管轄の法務局でも同じ対応ですか?との質問には「それぞれの法務局で扱いが違う」。とのことでした。見解が分かれる所があるので、即時就任承諾させずに、後日別途就任承諾書を差入て完全に4年の任期になるように慎重に対応されているところもあるようです。私は個人的には即時就任承諾したとしても、その承諾は今の任期が終了した後に就任しますという意思表示ですから、東京法務局の言う通り4年でいいのかなとも思っています。
ちょっと司法書士と司法書士受験生にしか興味なさそうな解説になってしまいましたが、こんな微妙なことに振り回されているんだなあと思って下さい。
2003年6月26日(木) 期待の大物新人
昨日、昔勤めていた司法書士事務所の人達と飲みに行きました。
司法書士試験に合格すると中央研修(2週間)・関東ブロック研修(2週間)・東京会の研修(1ヶ月)を受講しなければなりません。そして最後に、配属研修があります。期間は3ヶ月で、ベテランの先生がいる事務所に新人が割当されます。昔勤めていた司法書士事務所のT先生は業界50年のベテランですから、今年も新人が割当られたようです。
もともとこの業界で働きながら合格した人は、配属研修しても意味ないですから、この配属研修を受ける新人は決まって大学卒業して間もない本当の新人が多いです。
飲み屋にて
私「今年の配属研修始まりました?」
前の事務所のKさん「うん、今来てるよ。」KさんはT事務所の番頭さんで、40歳後半です。
私「どんな人ですか?」
Kさん「それがさー、60歳超えてるんだよ。」
私「まじですか?」
Kさん「T先生がさ、今年こんなのが来るからって履歴書見せてくれたんだよ。そしたら60歳だろ。だからすぐ『60歳じゃないですか!こんな人教えらんないですよ。』って文句言ったんだよ。そしたらT先生は『おれが二十歳の時に生まれてるんだから、若いじゃないか。』って言うんだよ。そりゃT先生からしてみれば若いだろうけど、教えにくくてしょうがないよ。」
毎年新人イビリして楽しんでいるKさんには、ちょっと扱いづらい新人?のようです。
そのせいかどうか知りませんが、Kさんはすごく悪酔いしてました(笑)。
2003年6月27日(金) 「集中日」
今日は俗に言う「集中日」でした。かなりの数の企業が今日定時株主総会を開催しました。総会はだいたい午前中に始まりますので、複数の企業の株主であっても、複数の総会に同時に出席できません。集中の理由もこのあたりなんでしょうか。日誌のネタとしてもはずせない訳で、内容が堅いですけど辛抱して下さい。
株主の経営監視が例年にも増して厳しいのが今回の特徴です。厚生年金基金連合会が総会議案の43%に反対を投じたとの報道もあり、より透明度の高い経営が求められているようです。今年度は業績不振、あるいはいろいろな企業の不祥事が目立った年度でもありますので、役員に対する退職慰労金支給に反対票を投じた株主も多いようです。
意外な感じがしたのは、厚生年金基金連合会が77%も反対に投じた「定款の一部変更」です。具体的には株主総会の特別決議の定足数の緩和のことです。

【登記一口メモ】
定款変更など重要な事項の変更は株主総会の特別決議が必要です。従来の特別決議は「総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上にあたる多数をもってすること」とされていましたが、商法改正で、定足数が緩和され「総株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上にあたる多数をもってすること」と定款で定めても良いことになりました。(商法第343条)

経済界の要請もあり、やっと実現した株主総会の特別決議の定足数の緩和です。現在、株式持ち合いが解消され、個人株主が増えた結果、定足数を満たすことが困難になってきていますので、企業側からするとどうしても承認させたい議案のひとつだと思います。企業を取り巻く環境が様々に変化する中で、経営の速度を求めると欠くことのできない承認事項だと思いますが、いくつの企業で無事承認されたんでしょうか?

P.S. なんか真面目な業界紙か新聞のコラムのようで、自分のキャラに合わない内容になってしまいました(笑)。
2003年6月30日(月) 「1円起業、無条件に」
今日の日経新聞の第一面に「1円起業、無条件に」という記事が掲載されました。お読みになった方もいらっしゃると思います。

【登記一口メモ】現行では株式会社の最低資本金は1000万円、有限会社は300万円です。この最低資本金のハードルが高いため、なかなか起業しづらい環境にありました。そこで今年2月より最低資本金規制の特例が設けられ、ハードルは多少低くなりました。(詳しくは事務所のHP)

この制度も設立後5年以内に最低資本金まで増資したり、場合によっては有限会社などに組織変更しなければならないという制約がありました。この部分に抵抗を感じる起業家の方もかなりいらっしゃいました。アメリカでは1ドルからでも会社設立できます。それを見習ったのかどうかはわかりませんが、2005年予定の商法改正により、無条件の1円会社の設立が認められそうです。
今1円会社を設立しても、この改正があれば5年以内の制約を受けないことになります。ますます起業のハードルは低くなり、産業の活性化に繋がっていくと思います。その反面、未熟なビジネスプランに基づく安易な起業も数多くなされるでしょう。しっかりとプランを練った上で慎重にこの低いハードルを越えてもらいたいと思います。
お前は何様じゃと怒られそうな建前の意見はこのくらいにして、ここから本音トーク。
正直この記事を見た時、やられたな。と思いました。最低資本金特例のお勉強、準備、実務にかなり時間を割きましたから、「おいおい、あれだけやらせといてなくなっちゃうのかよ。」と思いました。また5年以内に増資や組織変更または解散という登記手続が時限爆弾的に仕込んでありますから、我々司法書士にはおいしい仕事だった訳です。(←滅茶苦茶本音です(笑)。)
しかし冷静に考えると、単純に会社を設立しようという人がかなり増えますから、仕事量的には変わらないか、むしろ増えるのかなとも思います。フタを開けてみなければ分かりませんが、今後も商法には振り回されそうです。

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