業務日誌
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2004年2月2日(月) 株券廃止
先週金曜日は、千代田支部の新年会に行ってきました。部外者ではありますが、ずうずうしくも3次会まで参加させて頂きました。ありがとうございました。千代田支部の役員の皆様、お疲れ様でした。

また日経に出ていた記事のネタです。『中小企業の株券廃止お墨付き』という記事が掲載されていました。いろいろな分野でペーパーレス化が進んでいますが、株券も無くなるようです。大手の企業の場合、株式分割などがあるたびに、かなりコストをかけて株券を印刷しています。また中小企業でも場合によっては、市販の株券を購入して発行したりしていました。
個人投資家による株式のネット取引も増えてきましたし、全てコンピューターで管理できるようになれば、かなり便利なようです。もちろん中には株券がないと、安心できないというお年寄りもいると思いますが、これも世の中のながれと諦めてもらうしかありません。成年後見の場で、貸し金庫を開けてみたら、株券が大量に出てくるといった事もなくなります。ちょっと寂しい気もしますが、後見人からすると大切に保管しなければならないものが減るので、管理もちょっとは楽になります。
企業にとっては、かなりのコストカットに繋がりますが、一方でこの株券の印刷を主な生業としている企業もある訳で、そんな企業にとっては死活問題ですね。
2004年2月3日(火) 自己破産件数24万件
今日は節分。中学か高校生の頃、学校の先生に全力で豆をぶつけたりしてましたが、ずいぶん昔の話になってしまいました。
さて今日のネタも新聞から。2003年の個人の自己破産件数が24万件となり、昨年より12%も増えたようです。長引く不況の影響もあると思いますが、ずいぶん増えた印象を受けます。。しかし、経済的理由により、自殺しようとしていた人が自己破産で、多重債務の苦しみから逃れられるとすれば、この24万件という数字には意味があるのかもしれません。
街頭無料相談会や司法書士会での無料相談にこれらの多重債務者の方が来られる事も多くなりました。選択肢が自殺しかないと思いこんでいた方が、自己破産などの別の選択肢を知ることはいい事だと思います。もちろん貸した金を返すのは当たり前なのかもしれませんが。
皆さんの多くは住宅購入のために数千万円のローンを組まれていると思います。でも皆さんが無事に返済を続けられるのは、金利が低いからです。「トゴ」(10日で5割)などのヤミ金融は年利が1000%を超えますから、こんなのは論外ですけど、(あの『ミナミの帝王』ですら「トイチ」(笑))コマーシャルを頻繁に流している大手の消費者金融は年利28%ぐらいです。(出資法では29.2%までOK。)気軽なかんじのする消費者金融から、もし500万円とか借りてしまうと、利息は年間140万円。利息だけで月に12万円弱になってしまいます。もちろんこれだけでは元本は減りませんから、あっという間に火だるまです。大手の消費者金融でもこの金利です。ご利用は計画的に(笑)。
2004年2月4日(水) あれからもう1年
10万円の偽造印紙が出回っているようです。本職の皆さん気をつけましょう。

さて今日も新聞ネタから。ネタ探しに日々苦労している私には、最近それっぽい記事が連続して掲載されているので、大助かりです。日経新聞に出ていた『1円起業卒業』のお話。
昨年2月から最低資本金の特例制度が始まりました。株式会社の最低資本金1000万円・有限会社300万円を必要としない特例で、資本金1円から会社が設立できる制度です。1年が経過しましたが、もう8000社が設立されたようです。
今度の商法大改正で、場合によっては、最低資本金という概念自体無くなってしまうかもしれませんが、一応は設立後5年内に株式会社であれば資本金を1000万円に増やさなくてはいけません。この1年の間に、増資してこの制度を卒業していった企業も3%ほどあるようです。現場から見ていると、もう少し卒業生が多くてもいいような気がしますが、稚拙なビジネスプランで安易に起業してしまっている会社が案外多いのかもしれません。

あれから1年経っちゃいましたか。。。実は、うちのホームページは、この日誌に頼る部分が多く、最近他のコンテンツに手を加えていません。ホームページ下の"NEW"の部分にまだ「資本金1円でも株式会社・有限会社が作れます。今がチャンス!」と載せてありますが、全然NEWじゃなくなってます(笑)。時間を見つけては、改良していきます。
2004年2月5日(木) 予防接種
昨日の件で、トップページを少し変更しました。(NEWから「資本金1円でも株式会社・有限会社が作れます。今がチャンス!」を削除しただけという話もあります(笑)。)

月初めですので、成年後見の面談をしました。今回は病院を無断で脱出することもなく、お元気そうです。むしろ後見人の私が咳き込んでいましたので、「お大事に。」と言われてしまいました。ついではなかったのですが、ここ2、3日、咳が気になっていたので病院へ行ってきました。
今更ながらではありますが、病院にインフルエンザのワクチンが余っているというので、予防接種の注射をしてもらいました。一般には、私と同じようにワクチンが余っていたのを見つけると、すぐに注射してもらうことができます。(当たり前ですね。)しかし、これが被後見人だとそうもいきません。いくら貴重なインフルエンザのワクチンが余っているのを見つけても、気軽に後見人が被後見人に注射を打ってもらう判断をすることができません。この風邪のシーズンが終ると、今度は花粉症の時期です。最近では、この花粉症に効く注射もあるようですが、この点でも、後見人としての対応は後で後でになってしまいます。このように対応しきれない場合が多いのですが、いざ安全なはずの予防接種を受けて何かしらのトラブルが発生してしまうと、それこそ大問題です。
医療の現場での被後見人を取り巻く問題がうまく解決できるようになるには、まだまだ時間がかかりそうです。
2004年2月6日(金) 外出
事務所にいる事が多い私ですが、最近外出が多いです。このちょっとした外出の時間に外国人が相談に来られたりしたようです。(実際は日本語がペラペラの方でしたが(笑)。)
たまの外出もいい気分転換になりますが、外出の間、私のカバンの中には権利証など大切な書類が入っていることが多く、ぼーっと電車に乗るわけにもいきません。絶えず微妙に緊張感を持ったままの状態ですから、完全に気分転換にもなりません。無事に事務所に戻って、やっと一服するかんじです。

今日これから、港支部の役員会があります。(正確にはもう始まってます(泣)。)時間がなくて申し訳ないです。来週は内容のある日誌にします。。。
2004年2月9日(月) 港区の類似商号調査は高い?
来週は内容のある日誌にします。。。などと先週書いてしまいましたが、内容あるものというプレーシャーに負けて、遅々として筆が進みません。

今日は、過去にも何度か取り上げました類似商号の話。同じ管轄法務局に似た商号で同種の営業が行えないというルールがありますので、それに触れないようにこの類似商号の調査をします。同じ商号では、登記できないのはもちろんですが、一見して紛らわしい商号も、これに含まれます。(司法書士の受験のテキストには必ず「大丸」と「犬丸」とかが登場しますね。この二つも類似です。)商法改正でこの類似商号の調査が不要になるという方向ではありますが、改正前の現在では、この調査は必須です。
この類似商号の調査は、会社の設立時には必ずやります。(例えお客様が自分で調査したといってもやります(笑)。失敗が多いですから。)この設立時以外でも管轄が変わる本店移転(今の管轄ではOKでも移転先では不明のため。)、商号変更、目的変更とか一見関係なさそうな定款変更でも、調査しなければなりません。私のいる港区は東京の商業登記の50%を占める管轄ですから、会社の数も飛びぬけて多いです。当然手間がかかりますから、報酬もそれなりに頂きます。
今回港区から他府県への本店移転があり、他府県の法務局での類似調査を地元の司法書士の先生にお願いしました。他府県といっても田舎のほうで、会社の数も少ないでしょうから、類似調査も港区よりずいぶん楽そうです。司法書士報酬もこちらの数分の1のお値段でやってもらいました。(港区でこのお値段だと人件費も払えません。)ずいぶん前に地方の先生に、港区の類似調査の報酬の相場を聞かれてビックリされました。報酬は高いですけど、手間が全然違います。決してボッタクリではありません。ご了承下さい(笑)。
2004年2月10日(火) 内容証明 付録
先日ちょっと内容証明についてお話しましたが、今日もその続き。
だれでもそうですけど、基本的に内容証明を送られてうれしい人はいません。前回お話したように、ある種の時限爆弾でもありますし、相手方への宣戦布告でもあります。
宣戦布告型の内容証明の文末には、『なお、請求に応じて頂けない場合は、不本意ながら、法的手段を取らせて頂くことを申し添えます。』なんて嫌な文句が入ってますから、受取ってブルーにならない人はいないと思います。裁判による解決ではなくて、出来れば裁判外で解決したい場合は、この手の文面だと逆効果です。まとまる話もまとまりません。
「内容証明を送ることによって、こちらが真剣な対応を求めている姿勢を示したい。もしできることであれば、裁判外で解決したい。」というのなら、相手方に到着するであろう日付にも留意したいところです。これからのシーズンでいうと、若い独身男性に内容証明を送るのであれば、せめてバレンタイン当日に配達されないように気をつけたいところです。「チョコレートが1個ももらえないのに、内容証明だけは届いた。」なんて想像するだけでも悲しすぎます(笑)。もし相手の生年月日を知っているのなら、誕生日に送るのも考えもんです。話し合いのテーブルについてもらうのであれば、相手も生身の人間です。受取る相手の気持ちも理解したいところです。
もちろん「喧嘩上等!」と裁判をやる気が満々であれば、こんな事は気にもしないでしょうけどね(笑)。
2004年2月12日(木) 内容証明が届きません。。。
掲示板に「日誌はお気楽に」とあったので、お気楽にいきます。お気楽と言っても、日誌の読み手をどこを中心に考えるかで内容はガラッと変わります。
日誌を書いていて「これは一般受けするな。」とか「こんなの評価するのは同業者だけだな。」とか「こんな会社法ばっかりだと一般から嫌われるな。」とか視聴率を気にするテレビマンのようなことを考えたりします。

さてさて、今日も一般受けの良さそうな?内容証明のお話。昨日の話は、内容証明を送るタイミングを間違ってしまうと、結局裁判外での解決は難しくなりますよ。という話でしたが、今日はまた別件です。場合によっては、昨日のケースのほうがマシかもしれません。
バレンタインだろうが、誕生日だろうが、タイミングが悪くても、相手に届いてこその内容証明です。先日出した内容証明(配達証明付)の配達証明がなかなか送られません。どうやら、不在のようです。1週間経過してしまうと、留置期間経過ということで、差出人に戻ってしまいます。相手が受取りを拒否してくれると、通知が到達した効力はありますので、内容証明を出したかいがありますが、不在だと空振りです。長期で海外旅行をしているのか、郵便局に取りに行くのが面倒なのか、はたまた夜逃げしているのか、本当のところは不明です。なんとか手を尽くして連絡を取るしかありません。探偵みたいに24時間張り込む訳にもいかないですし、困ったもんです。

視聴率稼ぎのような訴訟業務ネタが続いてますが、まだまだ本業は登記です(笑)。
2004年2月13日(金) 交通事故(物損)に巻き込まれたら
視聴率稼ぎのような訴訟業務ネタのおかげかどうか分かりませんが、以前よりアクセス数が増えてきました。今日もアクセスありがとうございます。
登記関係に専念したいところですが、今日も訴訟がらみの質問があったので『交通事故』のお話。
交通事故といっても、我々のお仕事は簡易裁判所の訴訟代理権ですから、物損事故のお話です。人の生死に関る人身事故であれば、すぐに警察の出番です。ところが車と車がちょっとぶつかった程度だと、相手方の連絡先を聞いて終り。警察を呼ばない事も多いのかもしれません。でもこれだと後で揉めると大変です。大抵の物損事故は、お互い証拠となるものがただでさえありません。「一旦停止した。してない。」「信号守った。守ってない。」「急に車線変更した。してない。」などなど水掛け論になってしまいます。明確な証拠や証人がいないケースが多いですから、極力証拠を集めましょう。
せっかく日誌を読んで頂いているので、ちょっと為になるお話。交通事故(物損)に巻き込まれたら、次の事を守って下さい。
1.相手の車両番号は控えること。
2.運転免許を見せてもらって相手の連絡先・住所・氏名を確認すること。出来れば勤務先も確認して下さい。
3.事故が軽微なものでも警察を呼ぶこと。
4.示談はしないこと。

ちょっと長くなったので、つづく。
2004年2月16日(月) 交通事故(物損)に巻き込まれたら その2
前回のつづきです。
もしも逃げられたら最悪相手のナンバーは控えときましょう。ナンバーさえ覚えていれば、陸運局で車の所有者はわかります。相手が特定できないと何もできません。真っ先にナンバーは要チェックです。
警察を呼べば(こちらに過失がある場合も)、相手が嫌がっても相手の連絡先のデータは警察が記録してくれます。後から相手が急にムチウチになったとか言われないとも限りません。とにかく110番です(笑)。
ヘタな示談は揉める原因になります。ろくな事にはなりませんから、勝手に示談はしないで下さい。
余裕があれば、保険会社に電話しときましょう。あとは保険会社の指示にしたがって下さい。
もし怪我していたり、具合が悪かったらすぐに病院へ行くこと。何があるかもしれません。診断書をもらっておきましょう。
余裕ないかも知れませんが、事故を目撃した後の車のナンバーも控えとくと有利になるかもしれません。(目撃者の連絡先まで聞ければ御の字ですが、無理??)
以上は事故現場での作業です。その後事故車の写真なども修理の前に撮っておきましょう。
すぐその場での確認事項が多く、気が動転していると難しいかもしれません。でもここでしっかりやっとかないと後で苦しみますので、なんとか対応して下さい。

などなど色々ありますが、まずは安全運転を!
2004年2月17日(火) すごい違和感
今日はちょっと違和感を感じたこと。
司法書士という商売に限らず法律系の職業の基本はドメスティックな仕事です。もちろん一部の事務所では国際的なお仕事をされているところもありますが、大部分はやっぱりドメです。ですから、どちらかというと英語が苦手な人が多いように思います。
私は司法書士を始める前はロイターというイギリスの通信社にいたので、当時は一般の人に比べると英語に接する機会も多かったのですが、今では私の名刺には英語表記すらありません。事務所の名前も司法書士原田事務所とコテコテの日本語名です。
日本人は英語に弱いのか、あるいは憧れがあるのかわかりませんが、名刺に英語表記を入れたり、事務所名自体を英語名にしている一部の法律系の職業の方がいらっしゃいます。異業種交流会でこれらの職種の方と名刺交換した時の出来事。
差し出された名刺に思いっきり『Attorney at law』と英語が書かれていました。英語で弁護士のことなんですが、その名刺の持ち主は弁護士ではありませんでした。なんとなく違和感があったので、渡された名刺をよくよく見ると、そこには『Attorney at low』と書かれていました。自虐的にそう記載したのであれば、すごいユーモアの持ち主なんでしょうけど、どうやらそうじゃないようです。指摘すると可哀想なので、黙って名刺だけ受取りました。。。
もうお一方。
事務所名も英語風がオシャレなのか○○○○リーガルオフィスとかにされてる方がいらっしゃいました。それだけなら別にいいのですが、またまた違和感。英語名が『○○○○ REGAL OFFICE』。LEGALじゃありません。一応REGALって英単語もありますが、これは「王の」、とか「帝王の」という意味です。外国人と名刺交換される前に気づいて欲しいと思います。。。
残酷なようですが、実際本人を目の前にして指摘できませんよ。(本当に!)
2004年2月18日(水) 色々すみません。。。
今日はうちの事務所のサーバーがダウンしました。ご迷惑をおかけしました。
あるサーバー・レンタルの業者のものを利用しているのですが、今まで数年間無事故だったので、すっかり安心をしておりました。午前中には復旧したのですが、メールは読めないし散々でした。

今日はこれから、東京司法書士会港支部主催の無料相談会があります。すみません、今日はこれで失礼します。
2004年2月19日(木) 遺言川柳
昨日は色々失礼しました。
【業務連絡】
昨日のサーバーのトラブルで、私にメールが送れなかった方がいらっしゃるようです。メールアドレスを変更した訳ではありませんので、再度送信お願いします。

最近裁判ネタが多くなっておりますが、所有権移転、抵当権抹消、根抵当権設定、設立、役員変更、本店移転、目的変更、商号変更、新株発行、解散などなど普通に登記業務はやっております。日誌のネタにならないだけです(笑)。

今日リーガル・サポートの方から「遺言川柳」(UFJ信託銀行編 幻冬舎刊 1000円)という本の紹介がありました。
「 相続に くわしい叔父が 出てもめる 」
「 財産は 取り合い位牌は ゆずり合い 」
「 父の過去 司法書士より 告げられる 」
などのおもしろ川柳が載っているようです。ご興味のある方は是非ご一読下さい。
ここにあります「 父の過去 司法書士より 告げられる 」なんですが、これについてちょっと解説します。通常父が死亡して、相続が発生した場合、家族の方から「相続人は母と私たち子供2人です。」と事前に説明を受けます。ただ司法書士はその言葉を鵜呑みにしません。戸籍を遡って相続人確定のための調査を行います。だいたいお亡くなりになられた方の5歳〜10歳当時(生殖能力のない時代)までの戸籍を集めます。大抵は最初に言われた通りの結果(「相続人は母と私たち子供2人です。」)になるのですが、家族の誰も知らなかった隠し子が出てくる「とんでもない可能性」もある訳です。そうなると遺産分割協議はやり直しになりますので、家族の方々には申し訳ないですけれど、「実は亡くなられたお父様には○○○○というお子さんがいらっしゃいます。」と告げなくてはいけません。実際にそんな経験をされた方の詠んだ川柳が「 父の過去 司法書士より 告げられる 」なんですね。
2004年2月20日(金) 遺産分割協議書
やっと金曜日です。なんか今週は港支部の仕事ばっかりやっていました。おかげさまで仕事が山積みです(苦)。
今日は遺産分割協議書のお話。相続が発生しても、必ず決められた法定相続分(相続人が配偶者と子供2人の場合は配偶者2分の1、子供が4分の1ずつ)で遺産を分けなければいけない訳ではありません。法定相続分と異なる内容の遺産分割に相続人全員が同意すれば、それはそれで有効です。そしてこの遺産分割協議が整うと遺産分割協議書を作成し、相続人全員が実印で押印します。
相続のご相談で来所頂くお客様の中には、この実印を既に押印した遺産分割協議書をお持ちの方がいらっしゃいます。ご自分で作成されたのか、何かの本を参考にして作成された分割協議書は、そのまま登記に使えないことが良くあります。せっかく相続人が集まって(場合によっては遠方から)、実印で押印しているのに、再度作成し直さなければなりません。
相続が発生してすぐであれば、「このままでは登記できないそうだから、再度作成し直したこの協議書に押印してくれ。」と言えばすみます。しかし数十年前に協議書を作成し、登記しないで放置していたようなケースですと、押印した相続人が既に死亡していたりしますので、大変です。協議書作成後に死亡した相続人の相続人(ちょっとややこしい)を新たな遺産分割協議に参加させなければなりません。そうなると昔相続人間で合意していた内容で協議がまとまらなくなる可能性も出てきます。
相続の場合は、登記をしないで放置しているケースも良くありますが、いざ登記しようとなった時に登記できなくなってしまう可能性もあります。そんな事のないように相続登記はお早めに!
2004年2月23日(月) 登記申請のA4横書き実施
今日は登記申請用紙のお話。一般の方がお読みになっても、「ふ〜ん。」で終ってしまうネタですが、我々司法書士にはインパクト大なお話です。
数年前より裁判所に提出する書類も定款も用紙サイズがA4版に移行していきました。司法書士の登記申請書類だけが頑固にB4版・B5版の用紙を標準としていました。しかし時代の波には勝てないようです。

2月20日、法務省から日司連に対し、平成16年7月1日から、登記申請のA4横書き実施が通告されたようです。(一応B版での申請も受理してもらえるようです。)特に不動産登記の申請はB4版二つ折りで縦書きのものを使用していますので、ほとんどの書式がそのままでは利用できません。現行の申請書作成ソフトもすぐには対応できません。B4版での申請が受理されなかったら、結構混乱するところです。(そのうちすぐに登記はオンライン申請に移行してしまうので、一瞬の出来事になりそうですが。。。)
登記簿謄本も縦書きから横書きに移行していますので、申請書類のみ縦書きの必要性は、あまりないと思っていました。でも実際に横書きになるとすごい違和感を感じてしまうと思います。業界50年のT師匠はこの通告をどう感じられるのでしょうか?

一般の方から見れば「A4でもB4でもそんなのどうだっていいじゃん。」って話ですけど、とりあえず書いてみました。今日はこれから、リーガル・サポートの役員会です。
2004年2月24日(火) 過料の制裁
3回目の簡裁代理権取得の特別研修の日程が決まり、2回目の研修の考査の合格者も来月1日には発表になります。今でこそ代理権を持っている司法書士は少数ですが、3回目の研修後はかなりの数の司法書士が代理権を取得する事になります。泣き寝入りの多い少額の案件に対応される司法書士が数多く輩出される事を期待したいと思います。

さて今日は過料のお話。商法の中で異常に長い条文があります。第498条がその長い条文で、過料について説明してあります。ここでその条文を引用してしまうと、ものすごい行数かせぎと非難されそうなので、ここでは全文は紹介しません。(ご興味ある方は六法にあたってみて下さい。)
様々な場面で過料が発生すると説明されていますが、一番多いのは登記懈怠だと思います。Q&Aの中でも紹介していますが、役員変更の登記をサボっていると取締役は100万円以下の過料の制裁を受けることになります。実際の過料の額は懈怠している期間などで前後するようですが、まともに司法書士に報酬を払っているほうがずっと安上がりです(笑)。
この過料は取締役個人に対しての制裁になりますので、当然会社の経費にはなりません。
「裁判所から罰金を払うように言ってきました。なんとかなりませんか?」とご相談される方がたまにはいらっしゃいます。一応この制裁について異義を述べることが出来るのですが、異義が認められるのは特殊なケースのみです。したがって、ほとんどの場合は諦めて払うことになります。
「なんとかなりませんか?」との質問に「ずっとうちの事務所に頼んでおけば、良かったのに。。。」と冷たく答えたいところですが、素直に異義が認められるケースを説明したりしてます(笑)。
2004年2月25日(水) ごめんなさい
今日は外出と面談で1日が終ってしまいました。地味なデスクワークが出来なかったので、本来は残業すべきところですが、こういう日に限って高校の同窓会があります。しかも既に同級生が事務所まで迎えに来ています。
そんな訳で今日はここらで失礼します。明日よろしくです。
2004年2月26日(木) 同窓会も法人化?
昨日は同窓会出席のため、日誌の更新ができず、すみませんでした。「同窓会だったんだから、大目にみて下さい。」と言いたいところなんですが、実は高校の頃の同窓会といっても、我々の同窓会は各地で年10回以上開催されています(笑)。数十年に一度行われるような同窓会とは違いますので、とてもお気軽なものです。

せっかく同窓会の話になりましたので、今日はこの同窓会について。
同窓会といっても高校のクラスが一緒だったメンバーによる同窓会と早稲田大学などのマンモス大学全体の同窓会(早稲田だと「稲門会」)とは規模が違います。規模が大きくなればなるほど、事務所を設けたり、事務員を雇ったり、かかる経費も高額になってきます。ちょっと前までは、この同窓会には法人格が認められていませんでした。同窓会は営利を目的としていませんから、株式会社のような会社組織にはできません。また公益性もないので、財団法人や社団法人といった法人格も認められません。
法人格が認められていないので、事務所になるべき不動産を購入しても、その所有者は○○○○同窓会ではなく、その同窓会の代表者の個人や同窓会メンバー全員の共有となっていました。この状態で代表者などが死亡してしまったりすると大変なことになってしまいます。
ところが、平成14年4月1日に中間法人法が施行され、営利目的でもなく、公益性がなくてもその団体に法人格が認められるようになりました。任意団体であった同窓会も「有限責任中間法人○○○○同窓会」という法人を作れるようになりました。最近少しずつではありますが、この中間法人も増えてきました。
とはいえ株式会社のように課税されるので(最低でも年均等割りの7万円)、例え私が無料で設立手続をやるといっても、私の高校の同窓会は、法人化されないと思います(笑)。
2004年2月27日(金) 負の遺産 その1
昨日の中間法人の話で、法人化のメリットについての説明が少し足りなかったなあと思っていたところ、今日それに関連する話がありました。

私の実家は宮崎です。実家の近くに小さい公民館があります。市民会館などと違って小さな地域の公民館です。(ちなみに小学校の頃、そこの敷地でラジオ体操などをしていました。)この公民館の建物・敷地の他に、お米を精米する精米所の施設など地域の人々が使う施設や土地がいくつかあります。これらの不動産の所有者は実質的にはこの小さい地域の人々の共有財産です。昨日説明した同窓会のように、この小さな地域の財産を管理する団体には、法人格がありません。(もちろん中間法人を設立すれば別ですが)。
不動産登記法では、法人格のない任意団体名での登記はできないことになっており、仕方ないので、その任意団体の代表者名義で代々登記してあります。
この代表者が死亡し、相続が発生してしまうと、その代表者の相続人全員が登記手続に協力しなくてはならなくなります。(印鑑証明書を準備したり、実印を押印したり)
そこで今回その代表者が高齢になってきたこともあり、相続が発生する前にこの不動産の名義を若い代表者に変更しようという話がありました。
いくつかの土地の登記簿謄本を取得し、内容を確認していると、その登記簿謄本に見覚えのある住所が記載してありました。なんと実家の住所です。驚いて所有者の名前を見るとそこには私の「ひいおじいちゃん」の名前がありました。
つづく。

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