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司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

ブログ

2013年02月22日

ペーパー会社にご注意

多重債務者がこんな形で食い物にされています。

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投資詐欺悪用のペーパー会社売る「道具屋」
逮捕(読売新聞 2月22日)
 大阪府警は21日、虚偽の会社設立登記をしたとして、大阪市中央区伏見町、自営業筒井弘志被告(66)(詐欺罪で公判中)
を電磁的公正証書原本不実記録・同供用容疑で逮捕した。(略)
 発表では、筒井被告は2011年5〜9月、東京都内の法務局に、多額の資本金があるように偽造した通帳のコピーを提出し、
実体のない貿易会社など2社の設立登記をした疑い。容疑を認めているという。
 府警によると、筒井被告は多重債務者らを無断で代表者に据えて約50社のペーパー会社を設立。
会社名義の通帳約200通と携帯電話約200台を契約、詐欺グループなどに1社当たり100万〜200万円で転売、
約1億円を売り上げていたとみられる。

【多重債務者らを無断で代表者に据えた手口】
記事には、「多重債務者らを無断で代表者に据えて」とありますが、株式会社の代表取締役として、多重債務者を登記するためには、
その多重債務者の印鑑証明書とその実印が必要になります。何らかの理由で預かった印鑑証明書と実印を悪用したようです。いかなる理由であれ、
他人に印鑑証明書と実印を渡すことのないように、気をつけてもらいたいと思います。

【多額の資本金がある会社を設立した手口】
株式会社の設立には、商法時代は、金融機関の発行した払込金保管証明書が必要で、偽造はそれなりに難しいものでした。現在の会社法では、
払込金保管証明書の代わりに、銀行の通帳のコピーの提出となりましたから、金額の改竄ははるかに容易になっています。しかもそのコピーは、
1社だけではなく、複数の会社のものとして使用しても、登記は可能ですので、
このような50社のペーパー会社を設立することも難しいことではなくなってしまいました。
ちなみに合同会社では、そもそも銀行の通帳のコピーも必須ではないので、適当に作成した領収証を悪用した可能性もあります。

司法書士が手続きに関与したとしても、通帳の原本の確認まではしないことが多いと思われますので、事件に巻き込まれてもわかりません。
高額な資本金による設立の場合は、このような可能性も考慮して、慎重な手続きを行う必要があるようです。