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2012年06月27日

取締役の任期のお話 小林幸子の場合

取締役の任期のお話のつづき。

「いやいや損害賠償とかリスクがあるから、御社の場合、取締役の任期は短めにしましょう。」と任期の説明をするのに、
適した事例がないと常々思っていたとろこ、こんなニュースが。

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小林幸子、元社長らに6000万円支払い
(サンケイスポーツ 6月26日)
 演歌歌手、小林幸子(58)の個人事務所を舞台にした“お家騒動”をめぐり、
小林側と解任された女性元社長ら取締役の間で会社法に基づく報酬の合意のあったことが25日、分かった。元社長側の関係者によると、
合意したのは今月15日。4月に取締役を突然解任されたため、残り約3年半の任期に支払われるべき報酬を受け取ることで合意した。
元社長に約4000万円、元専務に約2000万円で小林側からの減額要求を受け入れた格好だという。(略)

ここでいう会社法は、こちら。
(解任)
第三百三十九条  役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。
2  前項の規定により解任された者は、その解任について正当な理由がある場合を除き、株式会社に対し、
解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。

この「解任によって生じた損害の賠償を請求することができる」部分が、
残り約3年半の任期に支払われるべき報酬ということで合意したようです。

取締役の任期が2年だったら、残り約1年半分、任期が1年だったら残り半年分で済んだところです。

こんなお家騒動は、想定していなかったのか、任期を4年以上に伸長して失敗した典型例となりました。(オーナー側からすれば)

定款の役員の任期を変更する時、ここまでのことをじっくり検討はされなかったのでしょう。相手方は、
こんな定款の規定があってラッキーというべきか。

これからお客さんに説明する時には、このニュースの話をしてみたいと思います。