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2013年04月17日

弁ご士にいぞうします

仕事柄、遺言の相談を受けることがあります。
仮に遺言される方に身寄りがなくても、「残ったら、全部私にちょーだい。」などとは言えません。
どんなに私のことを気にいってもらっても職業倫理上言えません。

でも「そんな堅苦しい職業倫理なんて関係ないぜ」っていう案件が実際にあったようです。

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「弁護士に5億円贈与します」
との認知女性の遺言は無効 京都地裁(産経新聞 4月17日)
 認知症だった呉服店経営者の女性が、相談した男性弁護士に5億円を超える遺産を贈与するとした遺言書は無効だとして、
女性のめいが訴えた訴訟の判決があり、京都地裁が請求を認めたことが17日、分かった。判決は11日付。(中略)
判決によると、女性は平成14年12月ごろには認知症の初期症状が出始めていたが、弁護士との打ち合わせを繰り返し、15年12月には
「私のいさんは後のことをすべておまかせしている弁ご士にいぞうします」などとの遺言を作成。女性は21年に92歳で死亡した。
(以下略、引用ここまで)

ニュースの文面によると、遺言は、「遺産」は「いさん」、「弁護士」は「弁ご士」、「遺贈」は「いぞう」とひらがなで、
「私のいさんは後のことをすべておまかせしている弁ご士にいぞうします」と書かれているようですので、これは公正証書遺言ではなく、
自筆証書遺言のようですね。

「弁ご士」さんが遺言の作成に関与したようですので、職業倫理はともかく、こういった裁判があっても無効にならないように、
色々な手は考えられていたと思いますが、遺言能力ぎりぎりセーフな段階での診断書とか準備しなかったんでしょうかね。

「残ったら、全部私にちょーだい。」なんてことは、口が裂けても言いませんので、遺言の相談があればお気軽にお問合せ下さい(笑)。