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2008年01月16日

イギリスで双子のきょうだいが結婚 日本ではあるのか?

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双子のきょうだいが結婚=出生時に離別、関係知らず−英(1月12日時事通信)

 【ロンドン11日時事】英国で、生まれてすぐに養子に出されて別れ別れになった双子の男女が、
きょうだいであるのを知らないまま結婚していたことが11日までに明らかになった。
 英メディアの報道によると、二人は異なる家族にそれぞれ養子として引き取られて育ち、
互いにきょうだいがいることは教えられていなかったという。後に知り合って結婚したが、
どのような経緯できょうだいであると分かったかは不明。結婚の有効性について審理していた裁判所は、
2人の婚姻を無効とする判断を下した。 

イギリスでは大騒ぎとなっているようですが、日本であったとしても大騒ぎ。
でも生殖医療が発達した現代では、ありえなくはない話。

近親婚は、当然民法ではタブー。
(近親者間の婚姻の禁止)
第七百三十四条  直系血族又は三親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。ただし、養子と養方の傍系血族との間では、
この限りでない。
2  第八百十七条の九の規定により親族関係が終了した後も、前項と同様とする。

遺伝学的にもタブーであるから、当たり前といえば当たり前。でも第2項の意味わかりますか?

第八百十七条の九の規定?

民法のお勉強してないとわからないですよね。
(実方との親族関係の終了)
第八百十七条の九  養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了する。ただし、
第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方及びその血族との親族関係については、この限りでない。

読んでわかります?民法の勉強しない限り、特別養子縁組なんて知らないですよね。

皆さんが知っている養子は、たぶん普通養子。ここにある特別養子は、子供のためにより強い親子関係を成立させるための制度。要件
(養子は6歳まで、試験養育期間6ヶ月以上、家庭裁判所の審判が必要、夫婦ともに養親、25歳以上などなど)が色々と厳しい反面、
戸籍上の記載からは簡単に養子とわからなくしてありますし、実親との関係も普通養子と違って終了します(近親婚を除いて)。

この制度、実は昔からあるものではありません。私の大学時代のテキストには記載がありません。
昭和62年の民法の一部を改正する法律の施行により昭和63年1月から始まった割と新しいものです。

今、平成20年ですから、戸籍からは一見実親がわからない特別養子だった子供たちが成人し、結婚できる頃。
きょうだいが別々の特別養子になるなんてほぼないとは思いますが、イギリスの事件のような可能性0%とも言い切れません。

仕事で他人の戸籍を確認することも多いのですが、さすがに特別養子縁組されたものはお目にかかったことがありません。
全国的に少ないんでしょうか?そこでちゃんと調べました。。。

さて問題。最高裁にある統計で過去10年間、この特別養子縁組の事件数(1年間)の推移は?
(厳密には特別養子縁組の離縁に関する数字も含まれておりますが、こちらはほとんど影響する数字ではないと思われます。)

A 40〜50
B 400〜500←正解
C 4,000〜5,000
D 40,000〜50,000

イギリスのような悲劇は起こるのか?