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司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

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2011年10月19日

定例の取締役会はきちんと開催しましょう

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ちょっと古いニュースですが、また取締役会ネタです。

取締役会 定期的に開かず (2011年10月06日朝日新聞)
 浜松市の天竜川で、5人が死亡した転覆事故を起こした川下り船を運営する天竜浜名湖鉄道(浜松市天竜区)が、 法律で定められた頻度で取締役会を開いていないことが5日、同鉄道への取材で分かった。
 会社法では「3カ月に1回以上」開き、その都度、職務の執行を報告することが定められている。
 同鉄道によると、2009年度は7回開いたが、「3カ月に1回以上」という決められた頻度ではなく、 4回開いた10年度も定期的ではなかった。また、会社法では開催とは認められない書面での決議が09年度は1回、10年度は3回あり、 書面決議を除くと10年度は1回しか開いていないことになるという。(略)

過去にもこれに似た「会社法違反発見!」みたいなニュースがあります。

この手のニュースは、

1 企業が何らかの不祥事
2 法律上は行わなければならない点を調査(多くは決算公告)
3 違反発見、さも「会社法違反しているひどい会社だ」と報道

のパターンです。
もちろん決算公告を行わないといけないのですが、実際に行っている会社は数パーセント。実態をご存じない方がニュースを読むと、「会社法違反か、けしからん!」となってしまいます。

ろくに取材や調査をしないで、「会社法違反発見!」の記事を書こうと思えば、
1 企業が何らかの不祥事
2 登記簿謄本を調査
3 変更日と登記日の間が2週間以上の箇所を発見。
4 会社法で定められた手続きを行っていなかったと報道。
も簡単にできてしまいます。

会社法
第九百十五条  会社において第九百十一条第三項各号又は前三条各号に掲げる事項に変更が生じたときは、二週間以内に、その本店の所在地において、変更の登記をしなければならない。

今回問題になっているのは、この部分。
(取締役会設置会社の取締役の権限)
第三百六十三条  次に掲げる取締役は、取締役会設置会社の業務を執行する。
一  代表取締役
二  代表取締役以外の取締役であって、取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定されたもの
2  前項各号に掲げる取締役は、三箇月に一回以上、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならない。

私のお客様から問い合わせの多い部分でもあります。
しっかりした会社は、問題なく定例の取締役会を開催していますが、中小企業の実態を考えると、おそらく天竜浜名湖鉄道と同じような会社はいっぱいありそうです。

しかしながら違反は違反ですし、定例の取締役会を開催していれば、事故を回避できる可能性が0とは言えないので、事故の責任や会社の規模を考えると、こういう報道も当然でしょうね。