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ブログ

2004年10月20日

自筆証書遺言の長所短所

昨日のつづき。
自筆証書遺言の長所と短所について。
長所
特に「遺言者田中太郎は全財産を…」のような簡単な内容の遺言の場合はすぐ出来ますから、とても便利で気軽です。公正証書遺言のように、証人もいりませんから、遺言の内容が他人に知られる心配もありませんし、わざわざ公証人役場に行かなくてもOKです。当然高額な費用はかかりません。(紙とペンさえあればそれで十分です。)また相続人も遺言者の自筆ぐらい判りますから、遺言の内容さえ明確なものであれば、相続人からその遺言は無効だと主張されにくいとも言えます。

短所
他人に知られないのもいいかもしれませんが、法律をよく調べることなく、素人判断で書いてしまうとせっかくの遺言が無駄になります。968条2項にあるように、訂正は通常の方法より厳格ですから、ここを間違えるとそれで終わってしまいます。(どうしても自筆証書遺言を作成する場合は、訂正しないで再度書き直したほうが無難です。)
また他人に秘密にできる反面、他人が知らないと、せっかく自分で用意した遺言が発見されない場合もあります。また相続人によって遺言が隠匿されたり捨てられたりするかもしれません。(こんなことを相続人がやってしまうと相続できなくなります。)ですから、複数作成して、信頼できる人に預けたりしたほうがいいですね。
また家庭裁判所での検認が必要になりますから、遺言が実現されるまで時間がかかります。あと当然ですけど、自分で字が書けなくなってしまうと作成できません。(高齢で手が震えてしまう等。)

費用がかからない分、不安定な部分が多いような気がします。次回は公正証書遺言について。