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2009年11月04日

公証人の本人確認

そろそろこんな事件が起こるかもと思っていましたが、やはり。

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「遺言は偽物」と高松高裁判決 公正証書“替え玉”
が作成(10月31日長崎新聞)
(略)
 この訴訟は2001年に死亡した愛媛県の女性の親族が「遺産の全部をめいに相続させる」とした公正証書遺言が偽造だと主張し、
めいらに返還を求めたもの。一審松山地裁判決は遺言書を「本物」と認めて請求を棄却していた。
 高松高裁が9月28日付判決で認定した事実によると、公証人は1996年5月、当時認知症の症状があったこの女性名義の遺言書を作成。
公証役場では本人を名乗る人物に、証人として司法書士と地方議員の2人を立ち会わせた上で、印鑑証明書と実印で本人確認していた。

 杉本正樹裁判長は判決理由で「女性の実印はめいが管理していたために別人に渡すことが可能だった」と指摘。その上で(1)
手が不自由だったはずなのに署名が明瞭で震えもない(2)車いすを日常的に使用していたのに、
公証役場内を不自由なく歩いていたと認められる―など不自然な点を挙げ「身替人の遺言だった」と結論付けた。
(略)

常々思っておりましたが、公証人の「印鑑証明書と実印」での本人確認は甘い。

「せめて運転免許証ぐらいまで提示してもらえば?」とも思いますが、
公証役場での遺言書の作成は運転免許証のない高齢者が中心ですから、今まではこのやり方が一般的な実務ともいえます。

写真付きの住基カードも発行できる世の中ですから、こういった時代の流れにあった本人確認の方法を採用してもいいと思いますが、
どうなんでしょうか?

また、別に写真に拘らなくても、「もう少し聞き取りがあればいいのになぁ。」と思うこともしばしばあります。

司法書士でこんな本人確認だと、ヘタすると懲戒(笑)。そういう意味では「公証人の身分も保証されてるなぁ。」
と多少はうらやましかったりもしますが。。。

過去の長い実務で問題があまり起こらなかったとはいえ、公証人の本人確認の方法については、
公証人会などでよくよく検討して頂きたいと思います。

無理やり証人にさせられた(?)司法書士も現場にいたようですが、証人になるのであれば、慎重にやってもらいたかったなあ。。。