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司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

ブログ

2007年01月29日

取締役会議事録のない理由

先日の更新を休んだお詫びではありませんが、かなり長くなってしまいました。最後まで読んでやって下さい。

「発掘!あるある大事典U」では納豆に続きレタスも捏造という事態。視聴率稼ぎのためなら、そこまでやるかという手法は「発掘!
あるある大事典U」だけではなく、他のテレビ番組でも過去に何度かありました。

その当時の事件発覚後の反応は、ここまで大袈裟(?)になっていなかったように思います。
せいぜい担当のプロデューサーなんかが責任とって終わりじゃありませんでしたかね?
今回は担当のプロデューサーどころか関西テレビの社長の辞任までの騒ぎになっています。

最近の企業の不祥事は、対応を間違えてしまうと大変なことになってきました。ところが対応を間違える企業の連発。
不二家では1ヶ月に50匹のねずみが捕獲されたなどとイメージの低下は避けられないニュースまでが報道される始末です。

そんな対応を間違えちゃうと大変な時代になると、こんなニュースも報道されてしまいます。

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事故対応の議事録なし パロマ
 パロマ工業(名古屋市)製のガス瞬間湯沸かし器による一酸化炭素(CO)中毒事故で、同社と親会社のパロマ(同市)は、
決算期や役員交代を除き、議事録を残した正式な取締役会を行っていなかったことが二十八日、分かった。同社では一連の事故などの議題は、
昼食を交えた幹部会議で協議されていたという。
同社は警視庁捜査一課のこれまでの調べに、事故関連の「資料がない」と説明しており、同課は押収した資料を分析。
約二十年間に二十八件の事故が起きながら、防止できなかった同社の指揮伝達系統や、その対応に問題がなかったか、解明を進める。

パロマの説明によると、パロマとパロマ工業両社では、役員の兼職者が多く、通常は昼食を交えながら企業運営を協議していた。
一連のCO中毒事故についても、
この場でパロマサービスショップなどの修理業者に不正改造を禁じる文書を配布する対応策などを決めたという。
だがこの会議は、正式な議事録を取っていないため、具体的にいつの事故を受け、どのような議論が行われたかなどを、
両社ともこれまで十分に説明できないとしている。
会社法では取締役会は三カ月に一回以上開かれ、議事録の作成も必要だが、両社では、議事録を残した取締役会は、
決算や役員交代の際に年一回程度、行うだけだったという。
パロマの幹部は「当時は不正改造がこれほどまん延しているとの認識はなかった。今にして思えば、企業としての対応が不十分だった」
としている。(平成19年1月29日東京新聞より引用)

パロマは資本金775億円の大企業。コンプライアンスが注目されていなかった時代でも通常の大企業であれば、
取締役会を開催していない、取締役会議事録がない等の事態は考えられません。じゃあCMもバンバンやっているパロマがなんでこんな失態を?

実はパロマはあれだけ大きくても、上場企業じゃありません。同族会社です。

ちょっと極端な結論ですが、物言う株主が存在しないという気の緩みがこんな事態を招いた一因であると思います。
(もちろん上場企業でないし、同族会社でもしっかりやっている有名企業は他にもいっぱいありますけど。)

パロマのHPをご覧頂くと、
情報開示が他の上場企業に比べて少ないかお分かりになると思います。(個人的な感想ですが、事件の対応のために置かれた「パロマ工業第三者委員会」
のHPへのリンクが直接設定されていない点には恣意的なものを感じます。気のせいですかね???)

直接に非難はしていませんが、「パロマ工業第三者委員会」もその事故の再発防止と経営改革に関する提言レポートの中で、
パロマが名古屋証券取引所2部への株式上場を検討を望むとしています。

その事故の再発防止と経営改革に関する提言レポートの最後にこんな文章がありました。

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企業の社会的責任とは、法令順守のレベルに止まるものではない。
法令順守は前提であり、それを超える行動が企業には求められている。一連の事故は、バロマ社に有形無形のダメージを与えた。
現代という時代は、消費者と社会が評価しなければ、企業は存続できない時代である。パロマ社は殻に閉じこもるのではなく、
今回の事件を社会に有益な企業へ転換する機会ととらえ、抜本的な経営改革を推進していくことを切に願う。(同レポートより)

こんな素敵なレポートをまとめた委員会も早々と平成18年12月21日をもって解散されています。。。残念。

今後企業の社会的責任はますます重いものになるでしょうね。