2016年08月05日
本店移転のお話 その2
本題から離れていますが、今日は本店移転のお話。
金子先生やら内藤先生やら新保先生やらが、いじり倒してるネタですが、今回む〜〜んなことがありましたので、あえて取り上げます。
どんな案件かといいますと、管轄内の本店移転です。
定例の取締役会が2月に開催されてました。通常の場合、上場会社の本店移転ですと、敷金やら賃料やらフリーレントが何ヶ月だとか、移転のコスト、移転理由が説明されるのが普通です。今回は、移転先の具体的な住所も記載されており、移転時期は9月下旬となってました。
法務省の下記の雛形通りには、いきません。
1 決議事項
当会社の本店を下記へ移転すること。
本店移転先 ○県○市○町○丁目○番○号
移転の時期は,平成○年○月○日とする。
「取締役会で移転時期を概括的に定めた場合において、現実に本店を移転した日がその決議の範囲内であれば、これを受理することができる(昭41・2・7民四75回答、登記研究221号49頁、284号78頁)。」(『商業登記ハンドブック(第3版)』186頁)
雛形と違って、アバウトな移転時期ですけど、これはこれでオッケー。
問題は決議の条件や期間の問題です。
上場会社さんの場合、業務執行報告を3か月に1回しなさいという会社法第363条2項は、当然しっかり守ってらっしゃいます。
ご参考
第363条
次に掲げる取締役は、取締役会設置会社の業務を執行する。
代表取締役
代表取締役以外の取締役であって、取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定されたもの
前項各号に掲げる取締役は、三箇月に一回以上、自己の職務の執行の状況を取締役会に報告しなければならない。
それどころか毎月定例の取締役会が開催される会社さんがほとんど。
今回の場合、これがネックでして、困ったことになりました。
つづく。