本文へスキップ

司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

ブログ

2014年06月12日

株主総会の書面決議のお話 その3

昨日のブログで「江頭338頁がスタンダード」と書きましたが、誤解を生じやすいので、
これから数日間の連載を読んでご判断頂きたいと思います。(しかし現状そういう対応をしている企業が多いのですが、その理由などは、
後日説明致します。)

さて、まず「江頭2:50」のまとめ
「江頭338頁による考え方が手続きを重くする」というのは、つまり
「取締役設置会社において取締役が取締役会の決議を経ないで提案した場合には、決議取消事由となる」ので、
株主総会書面決議を取締役の提案で行う場合には、必ず事前に提案内容について取締役会の決議が必要になるということ。

style="MARGIN-RIGHT: 0px">

参考までに
(株主総会の招集の決定)
第二百九十八条  取締役(前条第四項の規定により株主が株主総会を招集する場合にあっては、当該株主。
次項本文及び次条から第三百二条までにおいて同じ。)は、株主総会を招集する場合には、次に掲げる事項を定めなければならない。

一  株主総会の日時及び場所
二  株主総会の目的である事項があるときは、当該事項
三  株主総会に出席しない株主が書面によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
四  株主総会に出席しない株主が電磁的方法によって議決権を行使することができることとするときは、その旨
五  前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項
4  取締役会設置会社においては、前条第四項の規定により株主が株主総会を招集するときを除き、第一項各号に掲げる事項の決定は、
取締役会の決議によらなければならない。

「江頭2:50」だと、総会を書面でさらっとやろうとしても、取締役会開催するにあたって、取締役のスケジュールの調整を行ったり、
取締役会を書面決議で行うにしても、作成準備しなかればならない書類が単純に増えたり大変です。総会書面決議の提案日と同意日の他に、
取締役会書面決議の提案日と同意日の間隔を考慮すると、機動的に動けなくなります。スケジュールも最短という感じではなくなります。

この「江頭2:50」ではなく、総会の書面決議を行う場合に、
提案内容について取締役会の決議は不要という実務家にはありがたい考え方もありまして、こちらの根拠等については、
続きにて明日以降ご説明していきます。

思ったより長い連載となりそうですが、お付き合い下さい。
ブログ更新には、厳しいシーズンですが、このネタでしばらく楽できそう(笑)。

つづく

 

2014年06月11日

株主総会の書面決議のお話 その2

株主総会の書面決議は株主全員が同意した場合に成立する手続きです。通常は、取締役の誰か(ほぼ代表取締役)が提案をして、
全ての株主が同意という流れです。株主全員の同意がありますから、事前に総会の決議事項に関して、
わざわざ取締役会での付議事項の決定までは不要だという考え方もあるようです。

そういう考え方が実務上定着すれば簡単でいいのにな〜と思っていますが、個人的に「江頭2:50」
と呼んでいるものが簡単な実務の邪魔をしています。

それが江頭先生の株式会社法338頁。
そこにしっかり下記のような記載があります。

書面決議の意義
書面決議は本来会議を経た上で決議することを要するケースにつき、議事の省略を認めるものに過ぎない。
したがって取締役設置会社において取締役が取締役会の決議を経ないで提案した場合には、決議取消事由となる(会社法298条4項・
831条1項1号)。

これが手続きを重くしている元凶でありまして、これが実務の考え方のスタンダードとなっております。

もう少し続けます。