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司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

ブログ

2016年09月09日

医療法の改正

医療法が平成28年9月1日に久しぶりに改正されました。司法書士に影響があるのは、会社分割やガバナンスの強化といったところでしょうか。

9月になってじっくり改正点をおさらいしようと思っていましたが、医療法人の設立案件が舞い込んできまして、じっくりおさらいしている時間がなくなりました。

早速ガチ見(笑)。

医療法人の場合、理事は親族で固めているケースがほとんどですので、理事会の実開催も難しくないんですが、書面決議ができるようになりました。

規程ぶりは、こんな感じです。

第37条  理事会の決議は、法令またはこの定款に別段の定めがある場合を除き、議決事項について特別の利害関係を有する理事を除く理事の過半数が出席し、その過半数をもって行う。
2. 前項の規定にかかわらず、理事が理事会の決議の目的である事項について提案した場合において、その提案について特別の利害関係を有する理事を除く理事全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、理事会の決議があったものとみなす。ただし、監事がその提案について異議を述べたときはこの限りでない。

この規定を入れるため、わざわざ定款変更の認可申請する法人は、ほとんどありませんが、今後新設される医療法人の場合、ほとんど書面決議が定款に規定されると思います。

今から動いても認可されるのは、来年の3月。長丁場です。。。

2016年09月08日

各国の大使館事情

今日は、大使館のお話。

うちは外資系企業が多いので、残念な法改正のせいで、やたらサイン証明を取得する機会が増えました。外国会社も多いので、AFFIDAVITもかなりの量あります。

もちろん本国で認証してもらうこともありますが、在日の大使館でやるのも少なくありません。

案件によっては、私が直接大使館とやり取りします。

ここから先は、完全に個人的な私感なので、あまり参考にされませんように。

A大使館・・・さすがにお金がありますので、HPの充実具合も半端じゃないです。但し、領事部の対応する時間が短すぎるので、そこだけが欠点。

F大使館・・・完璧です。全ての大使館がこうだったら、どれだけ楽か。。。英語ができなくても、F大使館が英文でAFFIDAVITを作成してくれます。最高です。Uさんに感謝、感謝。Uさん最高!!!但しKbis(日本の登記簿謄本)のチェックも完璧な分、あちこち指摘されます(笑)。

E大使館・・・こちらもA大使館と同じように、かなり楽です。ただK諸島を対応してくれなくなったのは、地味に辛いです。また対応して下さい。。。

R大使館・・・慣れてはいるようですが、R語でしか出されない(たぶん)ので、うちの事務所でも翻訳できないので、外注します。

K大使館・・・日本にいるK国人が多いので、手慣れています。かなりスムーズですね。

C大使館・・・K大使館と同じですね。

アフリカの某大使館・・・マンションの一室しかないところもいっぱいあります。スタッフも少ないので、AFFIDAVITって何?みたいな国も多いです。こういうところは、飛行機乗ってもらうしかありません。

先日、AFFIDAVITのために、南国にフライトできるチャンスがありましたが、結局行けませんでした。。。残念!!!

ご参考まで。

2016年09月06日

定款の保存期間 完結

昨日のつづき。

ということで、わざわざ遠方の公証役場(引っ越しされてたんで)に行って貰いました。

その数時間後、「先生、保存期間過ぎてるから定款ありません。って言われちゃいました。」と連絡が。。。

まさかと思って会社設立の年月日を聞いたら、学生時代に設立したようで、20年経過しておりました。。。

代表取締役がお若かったので、まさかと思いましたが、先にこちらで登記簿の閲覧してあげといたら良かった。。。

「すまん。社長!」

滅多に公証人法施行規則なんて読む機会はないと思いますので、一応ご紹介。

公証人法施行規則
第二十七条  公証人は、書類及び帳簿を、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に掲げる期間保存しなければならない。ただし、履行につき確定期限のある債務又は存続期間の定めのある権利義務に関する法律行為につき作成した証書の原本については、その期限の到来又はその期間の満了の翌年から十年を経過したときは、この限りでない。
一  証書の原本、証書原簿、公証人の保存する私署証書及び定款、認証簿(第三号に掲げるものを除く。)、信託表示簿 二十年

第二十八条  公証人が保存期間の満了した書類を廃棄しようとするときは、目録を作り、その所属する法務局又は地方法務局の長の認可を受けなければならない。

せめて公証役場に問い合わせしてから、行ってもらえばよかったと後悔しております。

まあここで、仮に出てきたとしても、1号議案で定款を全面改訂したほうが楽ですよね。。。

というか定款いらない法改正して下さい。

2016年08月26日

本店移転のお話 完結

前回までのまとめ。
本店移転の法務局の実務運用は、「会社法第363条2項で業務執行報告を3か月に1回しなさいと規定されているから、本店移転の決議は、直近の定例の取締役会で決議しなきゃいけませんよ。」というもの。

合理的な期間が3か月って上場会社の本店移転に当てはまるのかなあ〜?というのが論点。

前回書いたように、上場会社の本店移転は、準備期間を含めると9ヶ月くらいが現実的。

というところまででしたね。

この合理的期間というのが、実に微妙。

法務局の「本店移転の決議は、直近の定例の取締役会で決議しなければならない。」というのは、あくまでも実務の運用。金子先生の「2月に開催した取締役会の決議内容に全く変更がないため、改めて取締役会の決議を行いませんでした。」といった上申書を添付するのが、お客様にも迷惑がかからない方法のひとつ。

でも合理的な期間だけを理由に上場会社の本店移転を却下できるんでしょうか。
一瞬、このまま申請しようかと思いましたが、却下なんてあったら、担当者は、たまったもんじゃありません。

結局どうしたかというと、担当者に、法務局の「本店移転の決議は、直近の定例の取締役会で決議しなければならない。」という実務の運用の話をし、書面決議でちゃっちゃと終わらせて、その取締役会議事録を添付しました。

当然370条の根拠を示すため、定款を添付しなくてはいけませんけど、会社法が、319条と同じ立て付けだったら、こっちの実務運用は、楽なんですけどね。。。

という大人な?(弱気な?)処理をしたというお話でした。

終わり。

明日は、サーフィン行ってきます!

2016年07月22日

今年の試験問題についての雑感

スクイーズアウトの続きのはずですが、今日司法書士試験の商業登記の記述の問題を解いてみたので、脱線して試験問題を解いた感想。

お金にならないのに、議事録のチェックをするのは、やる気が正直ありませんが、そこはブログのネタとして我慢我慢(笑)。

まず注意事項から

受験生にとっては、解答するためのヒントが隠されていることが多いんでしょうけど、こんな注意事項がありました。

添付書類の援用が可能な場合も援用しないものとする。
申請書に会社法人等番号を記載することによる登記事項証明書の添付の省略は、ないものとする。

受験生は、素直に受け取って解答するんでしょうけど、これって複数の正解が出て、試験委員が採点で苦しまないためでしょ(笑)。

そして問題。
会計監査人がさくら花子 受験生は必死でしょうけど、ちょっと笑っちゃいました。実務じゃないですからね。普通は、有名などこかの監査法人。しかも会社法人等番号を記載しますよね。(受験界はわからないですけど、このへんは、教えないのかな???)

1件目の登記は、監査等委員会設置会社。去年の改正会社法施行日にサントリーが採用したもの。当然昨年の試験委員が試験問題として採用するのは、試験問題作成のタイミングからして無理。だったら問題出すとしたら、今年しかなかったか。。。株式の併合なんて予想せずに、素直に監査等委員会設置会社を予測しとけば良かったなと思いながら、予約権。

役員の任期管理は、どこの事務所でもやると思いますが、行使期間の管理も当然やらなきゃいけません。ここまでは、うちが最近やった例とほぼ一緒。定款の新旧対照表は、上場会社の簡易バージョン。今までチェックしまくっているので、秒殺。

次が吸収分割。分割契約書も簡易版。秒殺。(受験生の方々、素直に書いているので、お願いですから、上から目線で書いてるなと思わないでね。。。正直、受験生には、こんなことばっかりやっている本職がどう思うか知って欲しいんですよ。1日9時間ほぼ会社法・商業登記法を会社法施行からでも10年。商法時代入れると2万時間以上やってますから、勘弁して下さい。)

なぜか次の議案が取締役選任。まあ実務でないこともないですけど、不自然。できない登記はこのへんかな?と先読み。

そして代表取締役の選定。やっぱりできない登記ってこれじゃん。(代表取締役の予選です。)

最後の別紙8
登記懈怠がない形で申請をして欲しいって書いてあります。ということは、やっぱ上場会社か上場準備会社。会計監査人がさくら花子はないっす(笑)。

と業務時間中に時間を計りながらやりつつ、上記のつっこみをしながら、また途中スタッフの質問に答えたりしながらですけど、正解まで10分。あとは、書けば終わり。

最後にちゃんとしてるな〜と思ったのが、会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律に基づく手続きは、適法に完了している。

受験生の出題の範囲外ですけど、
会社分割は、承継対象となる労働者にとっては、勤務先が変わったり、結構大変なのにも関わらず、労働契約を引き継いでも、個々の労働者の同意は不要です。でも労働者保護してあげないと可哀想だから、7条協議・5条協議ってのがあります。うちの事務所では、このあたりのスケジュール管理もします。

労働者の理解と協力を得るための措置(労働契約承継法7条、7条協議)。
労働契約承継に関する労働者との協議(5条協議)

合併と違って会社分割のキックオフ・ミーティングに人事部がいるのは、そのため。
これらの協議も、ほとんどうまく行くのですが、最近労働者から異議の申出が出て、慌てたことがあります。

ここからは、業界関係者へ
事業譲渡も9月からこれが絡んできますから、気を付けて下さい。

ちょっと飲みながら書いてたので、間違いあったら、許してちょ。