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司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

ブログ

2004年09月24日

長谷川式簡易知能評価スケール

先日言っていた精神科の診断の多くは『長谷川式簡易知能評価スケール』というものでテストされます。下記の質問にどれだけ答えられるかで具体的な点数で痴呆の程度を判断します。業界では単に長谷川式と呼んでいるものです。
30点満点のテストになっており、20点以下で痴呆あり、16点以下で中等度の痴呆、12点以下でやや高度の痴呆、8点以下で高度の痴呆とされています。私の助言に従って、早めに遺言を作成しないと、この結果に一喜一憂する訳です。 いい点数を取ろうとして何回も練習しても中々スコアは上がりません。うまい具合には行きません。
★質問内容と点数
(1) お歳はいくつですか?
2歳までの誤差は正解・配点は、正解であれば1点
(2) 今日は何年の何月何日ですか?何曜日ですか?
年月日、曜日がそれぞれ正解で1点(合計4点)
(3) 私たちが今いるところはどこですか?
自発的に出れば2点、5秒おいて、家ですか、病院ですか、施設ですかの中から正しい選択をすれば1点
(4) これから言う3つの言葉を言ってみてください。あとでまた聞きますのでよく覚えておいてください。 
例1 @梅 A犬 B自動車を3回繰り返し、復唱させる。 
例2 @桜 A猫 B電車
3つとも答えられれば3点
(5) 100から7を順番に引いてください。
例えば、100円から7円のものを買うとお釣りはいくらですか。93円と答えられれば、93から7引くといくらになりますか。
最初の答えが不正解な場合はそこでうち切る。
93と答えられれば1点、86と答えられればもう1点
(6) これから言う数字を逆から言ってください。
6−8−2と3回言う。その後、逆に答えてもらう。2−8−6と答えられれば1点答えられなければうち切る。 0点
答えられれば、次に4−1−7−5を3回繰り返し、逆に答えていただく。
答えられれば、もう1点
(7) 先ほど覚えてもらった言葉をもう一度言ってみてください。
自発的に回答があれば各2点。もし回答がない場合は以下のヒントを与え正解であれば各1点。 @植物  A動物  B乗り物
(8) これから5つの品物を見せます。それを隠しますのでなにがあったか言ってください。
無関係な日常用品を5種類集め、高齢者に一つ一つ説明する。
目を閉じてもらい、品物を隠す。回答1個につき1点。
(9) 知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってください。
回答された野菜の名前は書きに記入。
0〜5個は0点 6個は1点、7個は2点、8個は3点、9個は4点、10個は5点
途中でつまって約10秒待っても回答のない場合はうち切る。
あなたも身の回りの人でちょっとテストしてみて下さい。油断すると私も30点取れないかもしれません(笑)。この長谷川式で21点以上であれば、遺言作成に問題なしとなりますが、実際は微妙なケースが多いと思われます。

2004年09月22日

遺言の基本2

今週みたいにお休みが多いとうれしいですね。遺言の基礎知識をさらっとおさらいしようと思ったのですが、結構基礎部分が多く、中々本題に入れません。しばらくご辛抱を。
『第961条 満15歳に達した者は、遺言をすることができる。』
成人に達してなくても15歳で遺言作成はできます。未成年の場合、普通は親権者の同意が必要ですが、遺言には必要ありませんし、同意がなくても取り消せません。しかし実際のところ未成年で遺言する実益はあまりないように思います。でも一応この年齢でも遺言可能ということです。
『第963条 遺言者は、遺言をする時においてその能力を有しなければならない。』
よく裁判で揉めるところです。当然この遺言能力については判例もたくさんあります。今回私が遺言を早めに作成したほうがよいと説明しているのも、多くはこの部分に影響が出てくるからです。早めの準備があればいいのですが、現在遺言を作成される方のタイミングの多くは高齢になってからであり、大病した後です。現実的に死に直面してからでないと遺言を作成する気にならないのでしょう。
高齢になればなるほど、判断能力は低下していきます。全て完璧な法的に完成度・技術度の高い遺言は作成も理解も難しくなります。相手に判断力があれば、理想的な遺言が作成できるのに、この高齢者ではここまでの内容は無理だなとあきらめなくてはいけない事もでてきます。医師の診断が必要となるケースも多くなります。実際大丈夫だろうと思っていても、精神科の診断結果は厳しい場合も少なくありません。私も過去に困ったことがありました。
精神科で具体的にどんな診断をするのか、そのテストの内容については後日。

2004年09月17日

遺言書を作成するタイミング

忙しい時と暇な時と最近両極端です。満遍なくちょっと忙しいが続けばいいんですけど、業界が業界なので、そう都合良くはいかないようです。
さて今日から数回に渡り、シリーズ「遺言」について連載をしたいと思います。色んなパターンをご紹介しますので、多少なりともお役にたてれば幸いです。(ずいぶん前日誌に書きましたが、業界では「遺言」は「ゆいごん」ではなく「いごん」と発音してます。そのつもりで読んでいって下さい。)
今日はその1回目、「遺言書を作成するタイミング」です。
一般の方の感覚では遺言と遺書の作成のタイミングが同じ時期のような気がします。無論遺書は死ぬ直前に作成しますが、遺言は死ぬ直前である必要はどこにもありません。「まだまだ元気だから。」なんていうのは、遺言を書かなくてよい理由になりません。もし急に元気でなくなったら、法的に有効な遺言が出来なくなる場合だってあります。ボケちゃったら遺言は無理です。判断能力が低下し始めてから、周りに言われて遺言を作成するようでは、時既に遅しです。正常な判断ができるからこそ、ちゃんとした遺言が作成できるのです。
「でも早めに作成しても、後で気が変わったらどうするんだ?」遺言はいつでも取り消せますから、心配ご無用です。遺言はあなたのためではなく、残された相続人達が争わないためです。次回以降「遺言を書かなくてはいけない人」をご紹介しますので、その人に該当される方は本気で考えたほうがいいでしょう。
私が考える「遺言書を作成するタイミング」は「年金をもらえるようになったら」です。老後・死後について改めて真剣に考えるには、いい機会だと思います。もう1度念を押しますけど、遺言を作成するのは、もうそろそろあなたが死ぬからではなく、あなたの大切な相続人等のためです。冷静な判断ができる時期を逃すと遺言が作成できなくなるかもしれません。天国で後悔しないようにね(笑)。

2004年02月19日

遺言川柳

昨日は色々失礼しました。
【業務連絡】
昨日のサーバーのトラブルで、私にメールが送れなかった方がいらっしゃるようです。メールアドレスを変更した訳ではありませんので、再度送信お願いします。
最近裁判ネタが多くなっておりますが、所有権移転、抵当権抹消、根抵当権設定、設立、役員変更、本店移転、目的変更、商号変更、新株発行、解散などなど普通に登記業務はやっております。日誌のネタにならないだけです(笑)。
今日リーガル・サポートの方から「遺言川柳」(UFJ信託銀行編 幻冬舎刊 1000円)という本の紹介がありました。
「 相続に くわしい叔父が 出てもめる 」
「 財産は 取り合い位牌は ゆずり合い 」
「 父の過去 司法書士より 告げられる 」
などのおもしろ川柳が載っているようです。ご興味のある方は是非ご一読下さい。
ここにあります「 父の過去 司法書士より 告げられる 」なんですが、これについてちょっと解説します。通常父が死亡して、相続が発生した場合、家族の方から「相続人は母と私たち子供2人です。」と事前に説明を受けます。ただ司法書士はその言葉を鵜呑みにしません。戸籍を遡って相続人確定のための調査を行います。だいたいお亡くなりになられた方の5歳〜10歳当時(生殖能力のない時代)までの戸籍を集めます。大抵は最初に言われた通りの結果(「相続人は母と私たち子供2人です。」)になるのですが、家族の誰も知らなかった隠し子が出てくる「とんでもない可能性」もある訳です。そうなると遺産分割協議はやり直しになりますので、家族の方々には申し訳ないですけれど、「実は亡くなられたお父様には○○○○というお子さんがいらっしゃいます。」と告げなくてはいけません。実際にそんな経験をされた方の詠んだ川柳が「 父の過去 司法書士より 告げられる 」なんですね。

2003年08月01日

ちょっとブルー

とうとう8月になってしまいました。今月で38歳になります。40歳が目前に迫りなんとなく嫌な感じです。さて気を取り直して。
以前よりたびたび遺言の話をしておりますが、今日変わったことがありましたので、また遺言の話。遺言には全文を自筆で書くタイプの自筆証書遺言というのがあります。今日持って来られたものも確かに全文が自筆でしたが、署名捺印がなく、しかも鉛筆で書かれた日記でした。これが相続人間で争いがあると大変なところですが、相続人間で争いがなく、本人の意思を尊重して日記の文面通りの遺産分割を行うそうです。「このように遺産分割します。」と、依頼者から日記の該当部分を見せてもらいました。
日記の最後のページであり、日付が亡くなられた日のものでした。あれ?っと思っていると、「自殺だったんです。」と一言。重いですね。ちょっとブルーになってしまいました。相続は本当にいろんな事がありますね。今日深い人生勉強をさせてもらった気がします。
P.S.
話がちょっと重くなってしまいましたが、今日これから支部セミナーです。例の特別研修についての勉強会です。講師を頼まれたので正直気が重いですけど、なんとか頑張ってきます。