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司法書士法人ファルコは商業登記・会社登記・法人登記を中心とした企業法務コンサルティングに特化した専門家集団です。

ブログ

2006年06月07日

会社法であそぼ。で更に悩む

 

 


5月に定時総会が終わった会社の登記(当然、新会社法対応バージョン)
もそろそろ申請する時期になっています。


 


そんな申請をしなければならないの中、一般の方には、
「そんなのどーでもいいじゃん!」と言われそうな些細な内容に、悩まれている司法書士も少なくないようです。(この件、
最近問い合わせが多いです。)


 


会社法施行前は、会社は株券を発行しなければならないのが大原則。そして、
例外的に、株券を発行しない旨を定款に定めることが認められていました(株券不発行制度)。しかし新会社法では、原則が
「株券を発行しないこと」となり、定款に株券を発行する旨の記載がある場合に限って、株券を発行することとなりました。会社法施行前、
ほとんどの会社は、「株券を発行しない」と登記されていませんでした。


 


そして新会社法が施行され、会社の登記簿に、職権で「当会社の株式については、
株券を発行する」と自動的に記載されてしまいました。この職権登記の文言が世間に広まる前に、
ほとんどの会社は全株懇の定款モデルを採用してしまいました。

 


職権登記の文言は「当会社の株式については、株券を発行する」


株懇モデルの文言は「当会社は、株式に係る株券を発行する。」

 

 


どれだけ「どーでもいいじゃん!」的な事に悩んでいるかというと、
今回の定款変更の登記にあわせて、上記の微妙な文言に変更する登記をわざわざやらなければならないのか否かというところです。

 

 


会社法に関する情報が少ない中、会社法の立法担当者でもある葉玉先生が、
日々我々の質問に答え続けるという、業界必読の
『会社法であそぼ。』
というサイトがあります。今日のブログでは、今日のこの些細な(?)
テーマを扱っています。

 


実質的な部分が同じなんだから、
変更は不要とする葉玉先生のご意見はごもっとも。私も昨日までは、この意見に賛成でした。
(たぶん今日のブログで葉玉先生の解説があるだろうから、そこで判断しようと昨日までは思っておりました。)

 


でも「ネ」区分の登記が今回別にあるんだったら、
変更したほうがいいのかなとも思えてきました。そうはいっても、「当会社の株式については、株券を発行する」という登記簿の記載が消され、
「当会社は、株式に係る株券を発行する。」という記載が入るのは、葉玉先生のおっしゃる趣旨がわからない証明のようにも見えます。
立法担当者からすれば、いやむしろ一般の方から見ても、「そんなのどーでもいいじゃん!同じよ、同じ!!」というのも良く分かります。

 


でも一字一句を揃えさせられてきた登記実務に慣れていると、
変更登記もありなのかな。と。このためだけに3万円の登録免許税を払ってまで、変更する必要はないと思いますが、「ネ」
区分があるんであれば、変更もありかなと思えてきました。そのうち明確な指針が出ると思いますが、それまでは、皆さんどーします(笑)???
血液型A型の私にはピッタリの悩みです(笑)。

2006年06月06日

会計参与の報酬

 


3日連続で会計参与の話で、ちょっと飽きてしまわれたかもしれませんが、
今日でおしまい。今日は、珍しく早仕舞いして、かつて私のいたT事務所と飲み会です。恐怖のKさんに虐められてきます(笑)。

 


昨日のつづき。


当然のように、税理士が「それなりの報酬をくれ。」と言えるか??

 


言えて当たり前とも思えますが、しかし会計士・
税理士の顧問先との関係で考えると、どれだけの会計士・税理士が「従来の顧問料に加え、それなりの報酬をお支払い頂きます。」
と強気なことが言えるでしょうか?へたすると「会計参与やってくれないなら、顧問を他の税理士事務所に替えるよ。」
とか言われてしまいそうです。でもそんな関係で会計参与に就任してもロクなことはありません。
やはり安い報酬じゃ誰も会計参与には就任しないでしょうね。

 


ちなみに、知り合いの税理士さんに聞いてみたところ、どこの事務所も「やる。」
という返事はありませんでした。だよねぇ。。。

 


会計参与が、かなりの数の中小企業に採用されるには、

 


会計参与を前提とした魅力的な金融商品の増加し、
会計参与を強く求める金融機関が増え、それらの会計参与設置会社が受ける金銭的メリットを経営者が十分理解し、
そのメリットを享受するために会計士・税理士が背負い込むリスクに応えるだけの相当な会計参与報酬を会社側が付与していく必要があります。

 


会社法が施行され1ヶ月が経過しましたが、新会社法について、
中小企業がある程度の理解がされるためには、我々司法書士はもちろん税理士さんなどの士業のアプローチが必要不可欠です。
そんな士業の中でも、中小企業に最も近い存在である税理士さんが会計参与の導入を競って薦めるような環境にならないと、
意味のない名目的な監査役がいつまでも登記簿謄本に記載され続けることになります。

 


ちなみに、インターネットで検索してみると、新会社法が施行され、
会社設立などのうまみのあるキーワードには、色々な士業が群がっていますが、会計参与で検索しても、「うちの事務所は会計参与やります!」
みたいなサイトは見つけられませんでした。あげくには、うちのサイトが上位の検索結果に。。。

 


「会計参与」で検索し税理士・会計士のサイトが大量にネット上で見つけられる・
・・そんな時代は来るのでしょうか??

2006年06月05日

会計参与に就任するか?


 


会社法施行され1ヶ月経ちましたが、私は勿論、私の周りでも「会計参与」
の登記をしたという話を聞きません。


 


先週末のブログで紹介した中央三井信託銀行のHP「税理士提携ビジネスローン」
などの会計参与を活用した金融商品は、金利がお得になったり、社長の個人保証がいらなくなったりと、中小企業にとっては魅力的なものです。
その商品を導入したい企業にとっては、この会計参与が任意から必須になるのです。でも少し前までの平成不況の頃と違って、
金融機関の融資の状況も変わってきました。つまり金融機関は、「いい企業には貸す。別に、会計参与がなくても貸す。」という状況。
いい企業であれば、会計参与はいらないケースが多いはずです。


 


つまり現段階においては、「会計参与がいないとお金貸しません。」とか、
「会計参与がいれば、金利を優遇しますよ。」というのは、決算書類に信用が(足り)ない企業に対してのものです。
優良企業とはいえない中小企業に対して求めらる条件のようです。


 


何かあった時の責任は、最悪の場合、会計参与が取るから、
お金を貸してくれる訳です。そんな問題のありそうな企業の要請に答え、リスクを取る会計士・税理士がどれだけ出てくるか???会計士・
税理士が、リスクが高い企業の会計参与に就任するのか?

 


企業から税理士としての顧問料を貰っている今の状況は、記帳代行であったり、
節税指南としての部分だったで、取締役と共同して、決算書を作成する・保存する・株主に説明する・
高いリスクを取るとしてのものではありません。「会計参与はリスクが高いから、私が、会計参与に就任するなら、従来の顧問料に加え、
それなりの報酬をお支払い頂きます。」となって当然だと思います。

 


でもねぇ。(つづく)

2006年06月02日

会計参与とおいしいローン

 


新会社法施行後、少しずつ色々なケースの申請をしております。今日は、
昨日のネタの会計監査人の登記を申請してきました。しかし会計監査人と言葉は似ておりますが、まだ会計参与の登記はやっておりません。
「いつになったら会計参与の登記、経験できるのか???というのも。。。」というのが今日のお話です。

 


この会計参与、新会社法で新しく導入されました。新会社法施行前に、
地元の税理士さん達に講義した時に、集中して質問されたポイントでもあります。


条文だとこんなかんじ。(↓)

 


第333条 会計参与は、
公認会計士若しくは監査法人又は税理士若しくは税理士法人でなければならない。

 


第374条 会計参与は、取締役と共同して、計算書類及びその附属明細書、
臨時計算書類並びに連結計算書類を作成する。この場合において、会計参与は、法務省令で定めるところにより、
会計参与報告を作成しなければならない。(一部省略してます。)

 


会計参与は、登記簿謄本にも載るし、
何かあったら代表訴訟のターゲットになります。(会社法第847条)

 

 


今までの中小企業の会計監査は、監査役がやっていた(はず)です。
今回の会計参与と違って、別に税理士でなくてもなれますから、
奥さんや社長の子供が就任していたりと名目的な監査役が多かったのが真の姿です。そんな中小企業の決算書の信頼性を担保、
質を向上させるための新制度が会計参与
です。

 


会計参与を導入するしないは、会社の勝手ではありますが、
導入したい会社の目的はたぶんこれですね。(↓)


中央三井信託銀行、三菱東京UFJ銀行等が、会計参与を導入した中小企業に、
融資条件を優遇するサービスを開始。


(詳細は、中央三井信託銀行のHP「税理士提携ビジネスローン

 


中小企業には、おいしい話。でもなぜか会計参与の登記やってないんです。。。
なんでか??


(つづく。)

2006年06月01日

どうする中央青山監査法人の登記

 


今日から6月。朝起きても別に6月というのを意識していなかったのですが、
事務所によく来るS急便のトラックがコイン・パーキングに止まり、そこから台車を転がしている運転手に出会った事で、「ああ、
今日から6月だ。」と思ってしまいました。そう、今日から改正道路交通法がスタートです。

 


何百メートルも台車を転がしているいつもの運転手さんには、
お気の毒な駐車違反取締りが強化されました。渋滞の時に、道路の1車線をつぶすトラックを苦々しく思っていましたから、
ある意味賛成ではありますが、自分が車で外出する時には、ちと困ってしまいますね。皆さんは民間の駐車監視員を見かけましたか?近い将来
「コンビニでちょっと買い物してただけなのに〜〜。」と駐車監視員に文句言いそうな気がします。
特に都内のコンビニには駐車場がない所が多いので、ちょっと困ってしまいますね。ちょっと前置きが長くなりました。

 

 


さて、会社法に気を取られている隙に改正道路交通法がスタートしたそ6月。
受験生にはあと1ヶ月。我々にとっては、定時総会の集中する厳しい時期になってきました。
最初の会計監査人の登記が申請される時期でもありますが、問題は「中央青山監査法人」です。資生堂、東レ、旭硝子などが監査契約を打ち切ったり、
日本生命が会計監査人を監査法人トーマツに変更したりする中、
ソニーは6月22日の株主総会で「中央青山を変更しない」という選択をしたようです。

 


「招集通知に会計監査人に関する議案がない。
=中央青山が再任したものとみなされる」となりますので、平成18年7月1日、中央青山監査法人が会計監査人としての地位を失った後
(会社法第337条第3項)、一時会計監査人を選任する流れとなりそうです。
中央青山監査法人が現に会計監査人である他の企業の対応も招集通知が届く頃には明らかになりますね。

 


色々な対応がありますが、司法書士的には、ソニータイプの選択肢が一番登記が多くなります。

 


蛇足ながら、会計監査人の登記には、「監査法人が法人であるときは、
当該法人の登記事項証明書が必要」になりますが、中央青山監査法人の登記事項証明書、60枚以上あります。「登記印紙代も馬鹿にならんなあ。
」と思っていたところ、代表者事項証明書でOKなようです。
これから中央青山監査法人の登記事項証明書を取得しようと思っている方、代表者事項証明書にしておきましょう。

 


さらに蛇足ながら、ソニーの株主でない私は、ネット上で、
この招集通知がないか探していたところ、ソニーの今回の総会での定款変更案を見つけました。
ソニーは、どうやら品川区から港区へ本店移転するようで、只でさえ忙しいのに、さらに港出張所も忙しくなりそうです。お気の毒(笑)。